(140)山形弁でCM~渡辺えりの ちょっとブレーク|山形新聞

渡辺えりの ちょっとブレーク

(140)山形弁でCM

2016/12/19 12:38

 今年もまた暮れていく。私の61歳の年が暮れていきます。山形新聞のこのコーナーの担当記者は鈴木悟さんですが、彼は私の山形西高時代の同級生の息子さんです。同級生の息子というと小学生か中学生だと思い込んでいましたが、彼は40歳に近い、おじさんといっても良い年齢でした。今年も、私が締め切りを過ぎて原稿を送ることがしばしばで随分ご迷惑をおかけしましたが、いつもニコニコと広い心で許してくれます。お母さま譲りのおおらかな性格に感謝しています。その鈴木さんから、読者の方から質問のお手紙が届いたという電話がありました。ヤクルト「ジョア」のCM撮影時のエピソードを教えてほしいという内容だったとのこと。

 世田谷の私の家にもヤクルトお姉さんが時々自転車でジョアを売りに来てくださり愛飲していたので依頼があった時は喜んで引き受けましたが、撮影時に監督が山形弁でやってほしい、と突然おっしゃったのです。監督は女性で、私が出演した東京ガスのCMのファンで今回の剛力彩芽さんの母親役をやってほしいと思っていたのだそうです。剛力さんが里帰りしているという設定でみかんだと思って果物を拾っていると、私が台所から「ほいづぁオレンズだべよ」と声を掛けるのですが、撮影当日「それはオレンジよ」という台詞(せりふ)を山形弁で言うことになり、自分で考えた山形弁だったのです。とにかくすごく訛(なま)ってくれとお願いされてあの台詞になったのでした。

 関東出身の友達から「何て喋(しゃべ)っているのか? 内容を教えてくれ」というメールをもらったほどなので、山形出身以外の方には字幕が必要かも知れませんね。

 今年は全くジャンルの違った4本の舞台に出演し苦労して8キロの減量に成功したのですが、12月の頭からドラマ「100の資格を持つ女」の撮影で沖縄に行き、ソーキソバをおかずにおにぎりやソーミンチャンプルなど、おいしい沖縄の食べ物を日に三度ずつ食べていたら、4日で4キロ太ってしまいました。草刈正雄さんは昔からスタイルが変わらないというのに…。朝暗いうちに起きて夕方までの撮影なので、残念ながら沖縄観光も基地の取材もできませんでしたが、めったにない沖縄ロケの美しい映像が楽しみです。厚木基地の騒音問題も、辺野古の埋め立ての問題も最高裁で住民側が負けてしまう(しまいそう)というショッキングなニュースが続いています。国民の意思や感情を縛り付けるような方向に国が逆戻りしていくのは恐ろしいと、私は思う。

 何兆円もの財産を持つ個人が増え、世界を大金持ちたちが操縦しだしていると言われる昨今。広がる格差に歯止めをかけたい。正常なバランス感覚を大人たちが持てるよう、まず、自分自身が努力したい。

 来年は新作「鯨よ!私の手に乗れ」で幕が上がります。今年の8月に上演されて、私が出演した舞台「狸御殿」が年明けの1月2日の昼間、NHKのEテレで放映されます。

 どうぞ、皆さまご覧ください。山形の皆さん良いお年をお迎えください。今年も応援してくださり、ありがとうございました。

(劇作家・女優、山形市出身)

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