渡辺えりの ちょっとブレーク

(153)初公演へ四苦八苦

2018/1/31 11:47

 ただ今、2月1日に初日を迎える東京・新橋演舞場での公演「喜劇 有頂天一座」の稽古中。女剣劇一座の座長の役で、四苦八苦しながら膨大な台詞(せりふ)を覚え、立ち回りや所作を必死に勉強する日々です。劇中劇で「国定忠治」の小松原のシーンや長谷川伸の「瞼(まぶた)の母」の「水熊」のシーンもあります。そのシーンをさも手慣れた風にしっかりきちんと演じなけれなりません。

 63歳にして初めての挑戦となりました。共演はキムラ緑子さん、段田安則さん、村田雄浩さん、広岡由里子さん、ジャニーズJr.の林翔太さん、そして劇団新派のベテランたち。緑子さんとは新橋演舞場での有頂天シリーズ「喜劇 有頂天旅館」でもご一緒しました。その時も東京公演は私の夫役が段田さん、京都南座では村田さんでした。

 今回は私の一座を緑子さん演じる若手の女優に乗っ取られてしまうというストーリーで映画「イヴのすべて」にヒントを得て北條秀司が書いた短編戯曲を、新派の劇作家斎藤雅文さんが改訂して書き足しすてきな作品にしてくださりました。斎藤さんとは同世代、唐十郎の「蛇姫様」が最初の観劇体験という、気の合う劇作家です。

 私の恋人役の段田さんはどんなボールを投げても受け止めてくださる達者な役者。「夢の遊眠社」の主演俳優だった芝居好きの演劇人でありながらお笑いのツボを心得ている京都出身のベテラン俳優です。村田さんはいつも情熱的でチャーミングな演技をなさる方。今回は計算高い、私が演じる一座の座長のパトロンという役どころ。お金の亡者の役でも演劇好きで純粋な村田さんが演じるとやはりかわいらしい。

 22歳の処女を演じる緑子さんはいつでも本気で演じる方で、今回も本当に涙を流しながら体当たりで頑張っています。私ももう死ぬ気でやるしかない。東京にお寄りの際はぜひ観(み)ていただきたです。

 また2月18日からは下北沢のスズナリという小劇場で、私の旧作「深夜特急」が上演されます。アーカイブ第2弾と銘打って下北沢演劇祭に参加します。演出は「精霊の守り人」を脚色した大森寿美男さんにお願いしました。大河ドラマや朝のテレビ小説も書いている素晴らしい作家ですが、若い頃は3〇〇(さんじゅうまる)の役者だったのです。大森さんがどんな演出をしてくれるのか本当に楽しみです。私は全体の監修と衣装デザインをやっています。

 同時期に2本の作品の上演。いろいろな事情が重なってのことですが、とにかく全身全霊を傾けて頑張ります。大変過ぎて愚痴をこぼしたくなってしまいますが、好きな仕事をやれているという幸せを忘れてはいけないと肝に銘じて乗り越えたいと願っています。

 塾生たちも頑張って重要な役を演じます。主演は土屋良太で、コント赤信号の小宮孝泰さんたちが出演します。初演で私が演じたカエルとずうずうしいオバサンの役を深沢敦さんが演じます。今年40周年を迎えるオフィス3〇〇の記念すべき作品です。

 稽古の合間に宣伝のためのバラエティー番組に出演して1日も休みの無い寝不足の日々。20日に突然の山形ロケで、すべて突然の打ち合わせなしで、村木沢に行ったり、蔵王に行ったり、大雪の中、千原ジュニアさんの運転する軽トラックで走り回りました。

 スタッフ14人が旅館を当日探さなければならず、土曜日、スキー客で満室な山形。大きな老舗の温泉旅館は?と考え「古窯」に突然電話をし、無理して部屋を取っていただきました。突然訪ねて漬物をだしていただいた開沼さんにも申し訳ないことをしました。蔵王の「深山荘高見屋」さんも突然なのに風呂に入れてもらい、偶然スキーに来ていたいとこの旦那さんにも樹氷を案内してもらい、山形の方々の親切のおかげて面白い番組になりそうです。

 寒かったけれど、山形に仕事で来られるのは大変でもうれしいです。千原さんは生まれて初めて山形に来たそうです。皆さまお世話になりました。

(女優・劇作家、山形市出身)

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