渡辺えりの ちょっとブレーク

(162)周防組の撮影中

2018/10/31 21:57

 「Shall we ダンス?」「舞妓はレディ」に続いて「カツベン!」(仮)という周防組の映画の撮影中です。京都の東映撮影所で映画館の外観でのシーンを撮影した後、内部の撮影は、なんと福島市の広瀬館という古い劇場。紅葉の美しい大きな公園に移築された明治時代の建物です。

 お隣の福島に1週間以上滞在しています。竹中直人さんとは、今度は夫婦役で、愉快なことに役名もシャル・ウィー・ダンスの時と同じで竹中さんは青木富夫。私は青木豊子。監督の関わりのためか、ホテルもその役名で予約されています。スタッフも23年前から同じ仲間たち。田口浩正さん、徳井優さんもシャル・ウィーの仲間です。私たちと敵対するやくざの親分に小日向文世さん、小日向さんは来年の3〇〇(さんじゅうまる)の新作に出演してくださいます。その娘に昔、朝ドラで共演した井上真央さん。

 主演のカツベン師には新鋭の成田凌君とその思い人に私が前にこのコーナーで書かせていただいたNHKドラマ「アシガール」のヒロイン黒島結菜ちゃん。先輩弁士に永瀬正敏、高良健吾。監督役に池松壮亮、刑事は竹野内豊という、旬の俳優たちが勢ぞろいです。

 丁寧にワンカットずつ撮影していくため、待ち時間は長く、現場でストーブに当たりながら作品の話はもちろん、どのお店の何がおいしかったか?など地元の円盤餃子(ギョーザ)や手打ちそばの話で盛り上がったりします。東北に初めて来たという出演者もいるため、私が福島の名物料理を皆に教えてあげました。山形の小国町出身の女将(おかみ)が私に会いたがっていると周防正行監督に言われて、竹中さんと寄った「味わい」というお店の、そばと餃子がとてもおいしかったです。

 30日からはいよいよ松竹の舞台「有頂天シリーズ・有頂天団地」の稽古が始まります。

 今年の2月には「有頂天一座」という女剣劇の一座を舞台にした人情劇でしたが、今回は同じ間取りでぎっしりと立ち並ぶ団地のような建売住宅に住む主婦たちの喜悲劇で、懐かしい昭和の色の濃いコメディーです。

 私の役は今までやったことのないような、ごくごく普通の主婦。その役をいかに愉快に膨らませることができるのか? 頑張らなくてはなりません。キムラ緑子さん、笹野高史さん、広岡由里子さん、鷲尾真知子さん、久世星佳さんら仲良しのメンバーと暴れまくるつもりです。12月は新橋演舞場、来年1月は京都南座です。上山・葉山温泉の女将グループからも予約が入りお会いするのが楽しみです。

 今、京都から福島に移動する新幹線の中ですが、ヤクルトの世界大会の表彰式に参加するために京都に来ていたのです。私が記念品をお渡ししたのは勤続40年のヤクルトレディーたち。伊東四朗さんは50年の方たちに。雨の日も風の日も一日も休まず、ヤクルトを配達してきたお母さんたちの顔を見たら涙が止まらなくなりました。山形の祖母や母を思い出しました。

 温泉にも行かず、海外旅行にも行かず、一日も休まず配達する母親たち。家計のため、お客さまの健康のためといろいろな思いを胸に秘め、黙々と働き続けるその姿を想像すると、自分も頑張ろうと勇気をもらいました。レディーたちのシワが光っていました。40年演劇を続けた私と同じ世代と、上は80代の女性たちも。表にはなかなか出ないけれど、世界にはすごい人たちがいます。そして私たちはそういう人たちに支えられて生きているのだなあ…。

(女優・劇作家、山形市出身)

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