渡辺えりの ちょっとブレーク

(166)新曲タンゴ、大いに歌う

2019/3/30 21:42

 「タンゴ」にはまってしまった。タンゴはアルゼンチンの歌なので皆さんスペイン語で歌うのが常で、藤沢嵐子という昔活躍したタンゴ歌手も全部原語で歌っていたという。タンゴ独特の心地よいリズムがスペイン語とマッチしているからだろう。

 しかし、私は日本語で歌うことにこだわっている。始まりは「バンドネオン」という楽器。アコーディオンのような蛇腹の楽器だが、鍵盤はなくボタンのみ。その順番がピアノの鍵盤とは全く違い、複雑で世界一演奏が難しいと言われている。そして、今はようやくほそぼそと作られるようになったらしいが、楽器自体に新しいものがなく、100年近く前の骨董(こっとう)品をみんなが演奏している。だからかなりの高額らしい。

 私はバンドネオン奏者ピアソラの音楽に惹(ひ)かれてしまい、30年前から自分の演劇の作品にその音色を使ってきた。そしてアコーディオン奏者のcoba(コバ)さんとお友達になってから、cobaさんの開催した「蛇腹の会」ベローズ・ラヴァーズ・ナイトというコンサートに出掛けた時に日本でバンドネオンを弾く若者たちに会い、その中の女性奏者川波幸恵さんに新作の出演を依頼したのだった。

 そして、川波さんには何度も出演していただき、役者としても、演奏者としても活躍していただいている。川波さんはバンドネオンの世界大会でも優勝している。

 東京・六本木のライブレストラン「クラップス」で開催された私の今回のコンサート「ブルーカナリア」では、川波さんの弟弟子である鈴木崇朗さんに出演していただき、新曲のタンゴをたくさん歌った。ピアノは三枝伸太郎さんで、2人とも2年前に東京・めぐろパーシモンホールで開催されたコンサート「タンゴのすべて」の共演者で、打ち上げの時に意気投合してまたやろうと約束を交わし、それ以後何度かご一緒し、三枝さんには私の新作「私の恋人」の音楽監督を引き受けていただいた。ジャンルを超え、世代を超えて交流できる音楽の力は偉大である。

 今回のコンサートではタンゴの「チェ・バンドネオン」という曲を日本語にして歌い、私が歌詞を書いた「ブルーカナリア」を鈴木さんに作曲していただいた。鈴木さんの新曲もタンゴである。難しい作業だったが、お客さまにはとても好評だった。「チェ・バンドネオン」は日本では歌う人がいないほどの難曲で、アルゼンチンでは歌手が泣きながら歌うことでも有名な曲。直訳したものをいただき、意訳して音符にはめて歌うのは大変で作るのに1週間かかった。

 三枝さんには山形でも公演する新作の挿入歌を作っていただいた。これも難曲だが美しい曲で、のんちゃんと私が実際に歌うのを山形の皆さんにも聴いていただけるのが嬉(うれ)しい歌である。

 また将来、山形でもタンゴのコンサートを開催できればと思っています。皆さま応援よろしくお願いします。

(女優・劇作家、山形市出身)

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