渡辺えりの ちょっとブレーク

(170)楽しみな公演、その後

2019/7/31 21:39

 8月25日の山形公演(山形市・やまぎんホール=県民会館)が今から楽しみである。公演の後は山形西高の同級会がある。私だけ山形に残り、昔話に花を咲かせて大いに盛り上がりたい。芝居の感想を聞くのも楽しみである。西高の仲間は辛口の意見を言う人もいて、今後の作品作りに大いに役立つのだ。孫のこと、介護のこと、自身の病気のことなども語り合い、そして青春時代に帰りたい。

 西高時代の数学の先生だった鈴木宏毅先生が出版された本を同級生だった黒田成子さんが送ってきてくれた。中に先生の手紙が入っていて拝読したら、先生の御家族が満州(現中国東北部)から引き揚げてきた前後の回想録であった。お母さまから聞いた話を元にさまざまな資料を調べ、書き上げた力作であった。

 戦争の無慈悲さや恐ろしさを改めて感じ、何が善で悪なのか? その時々の政治の体制の中で猫の目のように変わる理不尽さを思った。そして、いつも犠牲になるのは、弱者である一般市民なのである。先生の著書を読み、新作「私の恋人」の中の家族の設定を、満州から引き揚げてきた家族の子孫に変えた。今回の作品のテーマにちょうど重なる部分があったからだった。

 山形には石原莞爾(かんじ)がつくろうとしたユートピアの遺跡も残っていると聞く。貧しかった東北の農村の子孫たちが夢見た幻のユートピア「満州」の実態を、記録の残っているうちにもっと調べなくてはならないと思った。

 今、稽古の真っ最中。小日向文世さんの演技で毎日大笑いし、のんちゃんの新鮮な演技に触発される。

 この2人に依頼して本当に良かったと思う。早替えが多く、大変な役なのに、2人とも弱音も吐かず喜々として励んでいる。

 4人の天使たちも、吹き替えも含めさまざまな役を演じて、歌いっぱなし、踊りっぱなし。

 シュールな舞台は初めてという役者も多くて戸惑い悩む人もいるが、本番までには面白い世界を作ってくれるはずである。

 私も大変なのに楽しくて仕方ない。そして、大変なのに痩せない。どうしてなのかな? 悩みすぎて苦しい時はジュリーの歌を聴く。中学時代からジュリーの歌を聴くと晴れやかな気持ちになって生き返る。良い薬である。

(女優・劇作家、山形市出身)

[PR]
[PR]