渡辺えりの ちょっとブレーク

(181)「女々しき力」序章上演へ

2020/6/25 15:49

 さくらんぼの季節。ようやく山形に帰れそうな気配がして、いまから嬉(うれ)しい。

 生の舞台の方も、お客さまが客席全部を使えなくても上演する企画を始めている主催者がいるようだ。劇場も知恵を出し合って、さまざまな工夫をしている。

 私の方は、女性の生き方を描いた20年構想の劇作家連続公演の企画「女々しき力プロジェクト」が延期になり、その間空いた劇場でプロジェクトの序章として、密にならない2人芝居とリーディングを企画。上演することになった。

 現在72歳、ますます元気に活躍している木野花さんと挑む2人芝居。これは私の新作である。木野さんと私が出演すればそのまま、ある女性の生き方そのものになるはずである。木野さんとは長いお付き合いで、劇作家如月小春さんと、演劇界の「三羽烏(がらす)」とよく言われていた。女性の演出家が珍しかった時代から小劇場を続けてきた女性3人だった。

 そして、永井愛さんの「片づけたい女たち」のリーディングを篠井英介さん、大谷亮介さん、深沢敦さんがやることになった。この男優3人は「3軒茶屋婦人会」というユニットを組んで、女形の芝居を続けてきた。永井さんが「る・ばる」という、松金よね子さん、岡本麗さん、田岡美也子さんの女優3人ユニットのために書いた作品を女形3人が読むのは、風刺が効いて面白いはずである。

 さらに、今年惜しくも亡くなられた別役実さんの作品を、私と尾上松也さんで上演することになった。「消えなさいローラ」というマニアックな作品で、私が山形県民会館で観(み)て感動し上京するきっかけになったテネシー・ウイリアムズ作「ガラスの動物園」のその後の話なのである。別役さんが奥さまの楠侑子さんに宛てて書かれたもので、いままで他の人が演じたことのない作品なのである。

 先日上演許可が下りたばかりである。20年前に上演しようとして叶(かな)わなかった作品。残酷で切ない、けれど演劇を愛する者たちの思いの結晶のような作品である。中村勘三郎さんに依頼されて歌舞伎の台本を書いた2作目の「新版舌切雀」に出演いただいた尾上さん、私の大好きな役者さんである。

 そして、劇団「KAKUTA」の公演「ひとよ」に主演が決まった。「女々しき力プロジェクト」の一員でもあった、いま大人気の劇作家桑原裕子さんの劇団で、桑原さんが作・演出を手掛ける。映画では田中裕子さんが演じた役で、世界の価値観を揺るがす問題作である。

 山形の皆さんもお時間がありましたら、マスクを着けてお出かけください。きっと楽しんでいただけると思います。

 自粛中、自分で三度三度料理して食べていたらなんと4キロも太ってしまったが、どれもが素晴らしい作品。またまた力の限り頑張ります。コロナもまだまだ心配ですが、お客さまのために考えられる、あらゆる配慮をして頑張ります。

 好物でいつも帰京する度にお土産に買い、沢田研二さんにも贈っていた丸八やたら漬の漬物。それがこの世から消えるなんて信じられない。慌てて通販で買いだめしても賞味期限は来てしまいます。どなたか、あの味を継いで、また私たちが食べられるようにしてくださる方はいないのでしょうか? どうしてもっともっと皆で支えられなかったのか? いま本当に後悔しています。

(女優・劇作家、山形市出身)

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