談話室

▼▽30代半ばから記録映画を手掛け、90歳を迎え発表した4時間半超の「ボストン市庁舎」は昨年、山形国際ドキュメンタリー映画祭で優秀賞を得た。巨匠として尊敬を集める米国のフレデリック・ワイズマン監督である。

▼▽「ボストン市庁舎」は市が携わるさまざまな現場にカメラを向ける。ホームレスの若者向け居場所づくり、アートを活用した麻薬対策、さらには同性カップルの結婚式。中でも目を引くのは市民の声にじっくり耳を傾け、融和を訴えるマーティン・ウォルシュ市長の姿勢だ。

▼▽アイルランドから渡ってきた父祖がかつて新天地で差別されていたこと、自らも若い頃アルコール依存症で苦しんだことなどを率直に語ることで「分断より連帯」のムードを生み出す。撮影された2018~19年はトランプ政権のただ中だっただけに、違いが余計に際立つ。

▼▽県内公開を経て、国内各地で上映中だ。ワイズマン監督はそもそも山形と縁が深い。山形映画祭の草創期から30年余り作品を応募し続け、受賞も重ねた。そのような関係があったから、日本でもワイズマン作品が浸透するようになったという。地方からの発信の成果である。

(2022/01/21付)
[PR]
最新7日分を掲載します。
  • 1月21日
  • ▼▽30代半ばから記録映画を手掛け、90歳を迎え発表した4時間半超の「ボストン市庁舎」は昨年、山形国際ドキュメンタリー映画祭で優秀賞を得た。巨匠として尊敬を集める米国のフレデリック・ワイズマン監督である。 [全文を読む]

  • 1月20日
  • ▼▽ある国がミサイル開発に狂奔すると、周辺国は防衛能力を高め対抗を図る。その先に安定した関係は生まれるのか。国際情勢を巡る難問だろう。今村翔吾さんの「塞王(さいおう)の楯(たて)」はそれを時代小説の中で追求した趣である。 [全文を読む]

  • 1月19日
  • ▼▽「後輪がパンクしているぞ」。過日、拙宅を訪ねて来た知人から敷地内に止めていた車の異変を教えられた。地面と接する部分にU字形の金属が刺さっている。破損した滑り止めチェーンの一部を路上で踏んだようだ。 [全文を読む]

  • 1月18日
  • ▼▽水島新司さんの漫画「大甲子園」に高校野球の未来を先取りした場面がある。明訓の主砲山田太郎に相手投手が最速160キロ台の球を投げ込む。現実世界では花巻東の大谷翔平選手が10年前の岩手県大会で成し遂げた。 [全文を読む]

  • 1月17日
  • ▼▽SF小説の草分けといえば19世紀に活躍したジュール・ベルヌである。宇宙や地底などを舞台とした冒険譚(たん)に胸を躍らせた記憶をお持ちの方もおられよう。科学研究が進展してもベルヌが描いた空想世界は色あせない。 [全文を読む]

  • 1月16日
  • ▼▽「コンビニ人間」で芥川賞を受けた村田沙耶香さんに「ギンイロノウタ」という異色の作品がある。主人公は有里(ゆり)という女の子だ。不器用でおとなしいためか学校になじめず、家に帰っても両親の仲は冷え切っている。 [全文を読む]

  • 1月15日
  • ▼▽岸田政権が発足してから3カ月余り。新型コロナ対策を巡り国際線の新規予約停止や18歳以下への給付金などで方針変更が相次いだ。ただ自民党内では「岸田文雄首相の聞く力が発揮された」と評価する声もあるとか。 [全文を読む]

[PR]