談話室

▼▽民主主義と報道の自由は今、逆境の中にある。けれども、理想を胸に活動を続けるジャーナリストはいる。今年のノーベル平和賞に決まったロシアとフィリピンの2記者は、そんな彼らの代表格として高く評価された。

▼▽閉幕した山形国際ドキュメンタリー映画祭でも、気骨ある報道集団を捉えた作品が市民賞を受けた。「燃え上がる記者たち」という。カースト制度が残るインド北部の州で、最下層の「不可触民」の女性たちが新聞社を起こす。身近で切実な問題を次々取り上げ共感を呼ぶ。

▼▽不可触民の女性という二重の抑圧に直面しながら、彼女たちはしなやかでしたたかだ。企業による環境破壊や被差別女性へのレイプ事件…。昼夜を問わず駆け回り、新たに動画配信を始める。一方家に帰れば別の日常がある。遅い帰宅を咎(とが)められ、夫と言い争う場面もある。

▼▽取材活動の意義を問われ女性記者は答える。「権力の座にある人々の責任を問い続けること。社会の声となって民主主義の柱を支えること」。見ていて不覚にも熱いものが込み上げた。折しも日本は新聞週間である。私たちも地域の声にもっと耳を澄まし、再興を支えたい。

(2021/10/16付)
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  • 10月16日
  • ▼▽民主主義と報道の自由は今、逆境の中にある。けれども、理想を胸に活動を続けるジャーナリストはいる。今年のノーベル平和賞に決まったロシアとフィリピンの2記者は、そんな彼らの代表格として高く評価された。 [全文を読む]

  • 10月15日
  • ▼▽以前の勤務地で、決まって酒宴の締めを任されるご仁がおられた。その方は登壇するとうやうやしく「正式な万歳三唱」の方法を説くのであった。「直立不動の姿勢から、右足を一歩斜め前に、両腕は垂直に上げて…」 [全文を読む]

  • 10月14日
  • ▼▽越中富山の薬売りは有名だが、始まりは江戸城内で起きた珍事に由来する。ある大名が突然腹痛に襲われた。居合わせた富山藩第2代藩主・前田正甫(まさとし)が携帯していた妙薬「反魂丹(はんごんたん)」を与えたところ、たちまち治まった。 [全文を読む]

  • 10月13日
  • ▼▽王子タミーノは囚(とら)われの姫パミーナを助けるため、試練の旅に向かう。お供するのは、ワインと乙女が大好きなお気楽猟師パパゲーノだ。モーツァルトが、35歳で早世する直前に仕上げた最後のオペラ「魔笛」である。 [全文を読む]

  • 10月12日
  • ▼▽前置きが長い人は嫌われがちだが、例外もある。7日に亡くなった古典落語の名手柳家小三治さんは噺(はなし)に入る前の「まくら」と呼ばれる導入部に定評があった。身の回りの日常も名人にかかれば極上の笑い話に変わる。 [全文を読む]

  • 10月10日
  • ▼▽「私はファイターだ。リングの中でも外でも戦い続ける」。世界6階級を制覇したプロボクサー、マニー・パッキャオ氏が引退した。フィリピンの貧しい農家出身で上院議員。次なる戦いは来年5月の大統領選である。 [全文を読む]

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  • ▼▽このご時世で最近はとんと機会がなくなったが、以前首都圏に出張するたびに気になっていたことがある。エスカレーターに乗る際は左側に整然と並ぶ。急ぎたい人は空けてある右側を歩いて移動する。そんな慣習だ。 [全文を読む]

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