談話室

▼▽雲水と呼ばれる禅僧たちは、文字通り雲や水の如(ごと)く所を定めず諸国を行脚した。よその寺(山)への修行遍歴の旅は「遊山」と称され、結果として一点の曇りもない心境になり美しい景色を楽しむ意味にも用いられた。

▼▽転じて、遊びや気晴らしに出かけることを指すようになった。ただ、現代では単独で使われる例は少ない。目にするのは観光を意味する「物見遊山」の熟語としてだろう。この場合、多くは否定的な印象を含み、移動の目的から外れたことを指摘する場合などにも使われる。

▼▽岸田文雄首相の秘書官が、欧米歴訪に同行した際、公用車で観光や買い物をしていたことが物議を醸している。野党からの批判に官邸は「個人的な観光を動機にした行動は一切なかった」。対外発信目的に使用する風景の撮影などだったとして物見遊山説の打ち消しを図る。

▼▽この秘書官は首相の長男翔太郎氏である。昨秋、起用された32歳。首相には後継者として経験を積ませる狙いがあるという。政治家としての修業中の身のご子息、頼もしい父との「遊山」で、気が緩んだか。観光旅行気分うんぬんよりも議員世襲の方に事の本質ありと見る。

(2023/01/30付)
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  • 1月30日
  • ▼▽雲水と呼ばれる禅僧たちは、文字通り雲や水の如(ごと)く所を定めず諸国を行脚した。よその寺(山)への修行遍歴の旅は「遊山」と称され、結果として一点の曇りもない心境になり美しい景色を楽しむ意味にも用いられた。 [全文を読む]

  • 1月29日
  • ▼▽その時計は専門家の助言に基づき針が動く仕掛けとなっている。核兵器や気候変動で人類が滅亡する時刻を午前0時に見立て、残された時間を刻む針が進んだり戻ったりする。米科学誌が発表する「終末時計」である。 [全文を読む]

  • 1月28日
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  • 1月27日
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  • 1月24日
  • ▼▽徳川家康にとって生涯最大の敗戦「三方ケ原の戦い」は、敵将武田信玄の策にはまって居城・浜松城からおびき出されたのが要因とされている。待ち伏せに遭い総崩れとなり、多くの家臣を失いながら城に逃げ帰った。 [全文を読む]

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