談話室
▼▽ファンファーレが鳴り響く授賞式でメダルを手にした時の表情は実に晴れやかだった。「すごい人だなと思いました」。晴れ舞台の後、妻久美子さんがしみじみ語った言葉にさすがのノーベル賞受賞者も相好を崩した。 ▼▽世界を一変させたスマートフォンなどに使われるリチウムイオン電池を生み出した吉野彰さん。社会の利便性向上に大きく貢献したわけだが、環境問題にも並々ならぬ情熱を傾ける。自動車への応用や他の技術との融合で気候変動対策に生かすのが今後の「責務」とも語る。 ▼▽その環境問題、現状はどうか。スペインで開催中の国連気候変動締約国会議(COP25)で途上国から悲痛な声が上がった。地球温暖化が続き海面上昇や干ばつなどの被害に直面する。日本も大型台風の襲来が相次ぐ。しかし米国をはじめ大国の危機感は共有されていない。 ▼▽石炭火力発電を続ける日本も肩身が狭い。温暖化対策に後ろ向きとして「化石賞」などを受けてしまい、小泉進次郎環境相もいつもの歯切れの良さが影を潜める。科学者にはノーベル賞、国には化石賞では悔しくないか。環境で科学は一流、政治は二流となってはいけない。 (2019/12/12付)
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▼▽ファンファーレが鳴り響く授賞式でメダルを手にした時の表情は実に晴れやかだった。「すごい人だなと思いました」。晴れ舞台の後、妻久美子さんがしみじみ語った言葉にさすがのノーベル賞受賞者も相好を崩した。 [全文を読む] ▼▽どうしても違和感を覚えてしまう。近年、スポーツ中継でアナウンサーも使うようになった「勝ち切る」の表現である。サッカーだけでなく今年盛り上がったラグビーなどでも使われ、日常的に耳にするようになった。 [全文を読む] ▼▽初めて会った方なのに意外なほど会話が弾む。都内で先日、そんな経験をした。地方紙の同業者が集まり、時事問題について政治家らの講演を聴いた後の懇親の場。お相手は南日本新聞(鹿児島県)の論説委員である。[全文を読む] ▼▽米沢藩を窮乏から救ったとして名君の誉れ高い上杉鷹山だが、藩政改革は一筋縄ではいかなかった。中でも最大の危機は1773(安永2)年に起きた「七家騒動」である。藩の重臣7人が結託し改革に反旗を翻した。 [全文を読む] ▼▽「ハタハタがそろそろじゃないのか」。町奉行の佐伯が尋ねると清左衛門が「みぞれが降るころにならんと、海から上がらぬ」と返す。藤沢周平さん(鶴岡市出身)の小説「三屋清左衛門残日録」の中の一場面である。[全文を読む] ▼▽近くを川が流れているのに不毛の地だった。土地より川が5メートルほど低く、水利が悪かったのだ。400年余り前の江戸時代初期、庄内の狩川城主だった北館(きただて)大学助(だいがくのすけ)利長(としなが)はこのような領地をもっと豊かにしようと考えた。 [全文を読む] ▼▽若輩記者時代に県の幹部職員から教えられたことを思い出している。条例か規則かは定かでないが文書の一部を指して「これが大事なんだ」と。そこにあったのは「等」の文字。いわく「行政の融通を利かせられる」。 [全文を読む] |
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