談話室

▼▽知人宅に先日お邪魔した際、尾花沢すいかを手土産にした。1個丸ごと買う機会が最近は少なかったせいか、腕にずっしりとした感覚が伝わる。「門入りて重き西瓜(すいか)ぞ抱きなほす」(篠田悌二郎)といった心地である。

▼▽切り分けられ、大皿に並んだみずみずしい赤は、和やかな語らいの場に似つかわしい。そんな果実だが、対照的に人の運命を左右することもあった。「青い山脈」など戦後を代表する映画に主演した俳優池部良さんが、召集されて中国戦線に赴いた頃の思い出を記している。

▼▽父の知人が西瓜を持って慰問に来てくれた。池部さんの部隊近くで駅長をしているという。秋田という兵が部屋に残っていたので、分けてやった。やくざの伜(せがれ)で普段敬遠されていた男だ。「俺なんかにいいのか」と秋田。その夜、池部さんは酒盛り中の上官3人に呼ばれた。

▼▽「女形になって酌してくれや」。映画俳優なのでと断ると「命令が聞けないか」と銃剣を取る。そこへ秋田が「兄貴を苛(いじ)める野郎はただじゃおかねえ」。3人を殴り倒し、軍刑務所に送られた。西瓜一切れが池部さんの苦境を救ったとはいえ、そんな世は繰り返したくない。

(2019/08/19付)
最新7日分を掲載します。
  • 8月19日
  • ▼▽知人宅に先日お邪魔した際、尾花沢すいかを手土産にした。1個丸ごと買う機会が最近は少なかったせいか、腕にずっしりとした感覚が伝わる。「門入りて重き西瓜(すいか)ぞ抱きなほす」(篠田悌二郎)といった心地である。[全文を読む]

  • 8月18日
  • ▼▽心なしか町が静かになったような気がする。お盆休みを古里で過ごした人たちがそれぞれの生活に戻ったためかもしれない。今年は最大9連休が可能だったがそれも今日で最後。子や孫との次の再会は来夏になろうか。[全文を読む]

  • 8月17日
  • ▼▽戦争は日常のあらゆる分野に影を落とす。太平洋戦争当時は、野球界も影響を受けた。英語である野球用語は敵性語として軍の通達で使用禁止になった。ワン・ストライクは「よし1本」、三振アウトは「それまで」。 [全文を読む]

  • 8月16日
  • ▼▽「ネバーギブアップ あきらめてはいけない…終(おわ)らせてはいけない…」。無類の高校野球好きだった作詞家の故阿久悠さんが、1981年夏の甲子園に出場した本県の鶴商学園(現鶴岡東)に向けて綴(つづ)った詩の一節だ。[全文を読む]

  • 8月15日
  • ▼▽空襲で母を失い、家も焼かれた。14歳の兄と4歳の妹は、2人で生き延びようとする。だが太平洋戦争末期から敗戦直後にかけて、都市の周辺で食糧を確保することは至難の業だった。兄妹の生は悲劇に向かって進む。[全文を読む]

  • 8月14日
  • ▼▽「ナショナリズム」という言葉を辞書で引くと、民族国家の統一・独立・発展を推し進めることを強調する思想または運動とある。難しいこのテーマについて2人の作家、半藤一利氏と保阪正康氏が本で対談している。 [全文を読む]

  • 8月12日
  • ▼▽近所にヘクソカズラの小さな花が咲いていた。白いフリルが赤紫色の中心部を取り囲む花冠は愛らしい。とはいえ勝手に生えて他の植物などに絡み付く庭の厄介者だ。姿に似合わぬ名前の由来となった臭いも嫌われる。 [全文を読む]

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