くぐり滝周辺の源流部から北へと流れ下った吉野川は、やがて白鷹山系の山塊にぶつかり、東へとほぼ直角に方向を転じる。しばらく国道348号に寄り添うように進むが、南陽市小滝集落の手前約1.5キロに位置するのが「小滝橋」だ。
山形市と西置賜を結ぶ重要な役割を担う国道348号は、江戸時代から「小滝越え」「小滝街道」と呼ばれた山間ルート。かつては幅員がせまく急カーブや急勾配が続き、冬季間は除雪ができないため閉鎖される難所として知られた。普段でも自転車や荷車、馬車などがせいぜいで、大型車は通行できなかったという。
1974(昭和49)年に国道に昇格。75年度に山岳部の18.5キロ区間を5工区に分けて拡幅、改良工事がスタートした。べにばな国体に合わせ92年に全線開通し、山形―白鷹は約30分の通勤圏となった。小滝橋は23カ所に架けられた橋の一つで90年に完成し、長さ17.7メートル、幅8.5メートル。かつての「小滝越え」は、通勤のマイカーやバス、トラックなどがほぼ一日中行き交う“動脈”となり、エンジン音を山間に響かせている。
|
|