流線形を基調とし、見る者にモダンな印象を与える千歳橋。鶴岡市出身で同市名誉市民の彫刻家・富樫実さん(京都府在住)の作品「空(くう)にかける階段」シリーズの一つで、長さ約30メートル、幅約15メートルのコンクリート橋だ。
現代的なデザインの橋だが、その歴史は古い。江戸時代の初期に架けられたとされており、当時は「五日町橋」と呼ばれていた。1876(明治9)年に改築し、今の名前に改称。鶴岡市の「鶴」にちなみ、縁起のよい言葉として「千年=千歳」と命名されたのでは-との説が伝わる。明治期の女性作家・田沢稲舟はこの橋近くの出身。先々代の橋は木造で、コンクリート製の先代橋は1952(昭和27)年に完成した。
橋のそばで代々、材木店を営んでいた森田政一さん(71)=本町1丁目=は、内川で舟運が盛んだったころの話として「上流部で伐採した丸太を川の流れを使って運び、橋のそばで引き上げたと聞いている」と語る。
当時は現在のような護岸工事がなされておらず、店の敷地近くまで傾斜のある土手が続いていた。橋に近い石碑に昔の橋周辺の様子が描かれており、土手に丸太が積み重なっている様子が分かる。「子どものころは土手に腰掛けてフナ釣りをしたこともある。私より上の年齢の人は橋の近くで水泳をしていたようだ」と森田さん。
2001年に生まれ変わった現在の橋には、両側に3.5~4メートルの広い歩道が初めて設けられた。無散水消雪方式になっており、冬でも安全に通行できる。季節を問わず、近くの商店街に買い物に向かう市民や学校帰りの学生らが行き交う。
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