鶴岡市美原町と双葉町を結ぶ天池(あまいけ)橋。近くを国道345号が走り、東に進めば国道112号へとつながる位置にあり、往来も多い。
詳しい資料がなく名前の由来は定かでないが、「双葉町の旧地名の日枝字天池に関係するのでは」と付近の住民は推測する。初代の橋は1954(昭和29)年に架けられた木製。64年にコンクリート製に架け替えられたものの、幅4メートルと狭いため年々、交通量とともに通行車両の不便さも増した。
78年9月28日付の本紙朝刊は、天池橋の架け替え決定に関する記事を掲載。2代目の橋について「朝夕のラッシュ時には、橋を中心に両側に百メートル余も車の列が並び、身動きできない状態。しかも通学路になっているため児童生徒はひやひやの連続」と記述している。
「冬場、雪で道幅が狭くなるとさらにひどかった」と振り返るのは、橋の近くで建材店を営む小林清夫さん(73)と嘉子さん(68)夫妻。「橋の両側で車が互いに道を譲らず、怒鳴り合いのけんかになっていた」と苦笑いする。幅16メートル、長さ22.6メートルの現在の橋は83年に完成した。
30年ほど前まで田んぼに囲まれていたという橋の周辺には、多くの店舗や住宅が立ち並ぶようになった。嘉子さんは「橋が拡幅されたおかげで便利になった」と話した後、「(天池橋北側にある)筬(おさ)橋の辺りまで遊びに行った子どもたちを、夕方になると台所の窓から呼んだことが思い出される」と当時を懐かしんだ。
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