鶴岡市苗津町の新内川に架かる腰前橋は、長さ約44メートル、幅約9メートルのコンクリート橋。1975(昭和50)年に完成した。近くには朝暘二小や中央児童館があり、子どもたちが元気に橋を行き来する姿が印象的だ。
腰前橋という橋名の由来は定かではないが、市土木課によると、昭和40年ごろまで、橋のそばに「腰前」という字名の地域があったという。近くに住む自営業佐々木重作さん(75)は「かつてあった字名から名付けられたのではないか」と推測する。
新内川は市街地を流れる内川の川幅が細く曲がりくねっているため、はんらん防止などを目的に県が工事を行い、1983(昭和58)年に完了した。腰前橋が完成し、地域住民の生活に溶け込んでから30余年と歴史は浅い。佐々木さんは「苗津町は昔、どこまでも田んぼが広がっていた。新内川ができてからは地域に潤いが生まれ、景観もよくなったと思う」と振り返る。
近くに住む法林寺住職の長南保秀さん(56)は「橋の上から川面を見詰めると、懸命に遡上(そじょう)するサケや羽を休めるカモの姿を目にする。近年、半世紀ぶりに姿が確認されたハグロトンボの舞も見られる。この辺は自然豊かな場所になった」としみじみと語る。
新内川の流れが生まれたことで、腰前橋付近の動植物の生態系も変化したようだ。また、橋のたもとでは新しい住宅の建設も増えており、周囲の風景も変わりつつある。
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