鶴岡市遠賀原に架かる遠賀原(おがわら)橋。長さ68メートル、幅7.7メートルのコンクリート橋だ。住宅地にひっそりとたたずむ橋だが、付近の住民だけでなく、市街地と国道112号を結ぶ抜け道として、市民や宅配業者らの車が昼夜を問わずに行き交う。
全長約2340メートルの新内川は、市中心部を流れる内川の水量を分散させて水害を防ぐため、1972(昭和47)から83(同58)年にかけて整備された。遠賀原橋は、新内川に架けられた橋としては最上流部にあり、75(同50)年に完成した。それ以前の周辺は水田や畑が広がり、その中を、市中心部から櫛引地域方面に抜ける現在の市道が通っていたという。
橋近くの遠賀原地区に住む農業斎藤賢吾さん(77)によると、新内川が作られる際、地区内では幅の広い川ができることで水害などを心配する声が多く聞かれたという。しかし「完成した結果、市街地での水害がなくなった。市民の安全の観点からも、新内川ができてよかったと思う」。
周辺が田畑だったころ、夏になると数多く飛び交うホタルの姿が見られたという。以前は橋近くで遊ぶ子供の姿もあったが、「少子化の影響もあるだろうが、最近はあまり見なくなった」と少し寂しそうな斎藤さん。近年は橋付近までサケが遡上(そじょう)してくるようになり、新たな風物詩となっている。
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