米沢市上郷地区の天王川には、わたしたちがまだ渡ることができない橋が架かっている。2008年3月に完成した同市竹井の竹井橋(長さ55.2メートル、幅14.5メートル)。主要地方道米沢高畠線の新ルートの整備に先立ち、架設された。開通の日を待ちながら、朝も夜も工事車両の往来を支えている。
米沢高畠線は米沢八幡原中核工業団地に通じる道。通勤などで高畠町側からの利用も多く、大型車両も頻繁に通る。利便性向上のため、04年に同市竹井-長手の約2キロ区間で新ルートの整備を開始。竹井橋を含め全区間の供用開始は12年度からの予定で、県置賜総合支庁は1日当たり車5300台の交通量を見込んでいる。
上郷地区を通る従来の米沢高畠線は道幅が狭く、歩道がない。近くには米沢工業高、米沢七中、上郷小があり、周辺住民は利便性だけでなく、安全面でも新ルートの整備を待望していた。上郷コミュニティセンターの青柳秀夫館長(65)は「広い道ができて車の流れが変われば、子どもたちの登下校も安心できる」と話す。
橋に取り付けられている橋名標の文字は、地元の書道家菊池峰月さん(57)=同市上新田=が担当した。依頼を受けた時点で、橋はまだ影も形もなかったが、上郷地区の豊かな自然、頑強な構造物との調和をイメージし、筆を握ったという。菊池さんは「地域の交通の要所になる場所。人々に親しまれる橋になってほしい」と語った。
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