やまがた橋物語

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立谷川編[5]

◆大森赤石橋(山形)

大森赤石橋(山形)の写真 紅花や山寺をモチーフにした親柱のモニュメントが目を引く大森赤石橋=山形市

 山形市の山寺地区と高瀬地区を隔てる大森山。全長106メートル、幅11.4メートルのコンクリート造りの大森赤石橋は、大森山を貫く広域農道の整備に合わせ、2002年に架けられた。赤い欄干と、紅花と山寺の風景をあしらったモニュメントが目を引く。大森山にはキツネにまつわる昔話や逸話が数多く残り、今も地元住民の間で語り継がれている。

 その中の一つに、こんな話がある。「大森山を抜ける峠には昔、通行人に悪さをするキツネがいた。高瀬の人たちは山寺で祭りがあると親戚からもらった昆布巻きや、ふかしたご飯などの土産を手にして峠道を帰った。これを知っているキツネが家族に化け、土産をさっと奪っていった」

 にわかに信じられない話だが、話をしてくれた同市下東山の海谷秀雄さん(84)、ヨネ子さん(79)夫妻は「キツネが人を化かしたと信じている。葬式の後に配られるごま塩おにぎりが好きなキツネもいたと聞いた」と振り返る。

 山寺まで鉄道が延びた1930年代の話もある。「山形から山寺に向かっていた汽車が夜、大森山付近で対向してきた汽車とぶつかりそうになった。急停車した山形発列車の運転士が相手に文句を言おうとすると、汽笛を盛んに鳴らしていた汽車はすっと消えて闇が広がった」

 1937(昭和12)年に仙山線が全線開通し、列車の往来が盛んになるとキツネは次第に姿を消した。半世紀以上経た2002年には、線路と並行するように広域農道が造られた。大森赤石橋は山寺-高瀬間の近道となり、通勤時間帯の利用者も多い。春は周辺の果樹の花が咲き誇り、車窓からの“花見”が楽しめる。

2011/05/11掲載
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