高坂橋の約1.6キロ下流にあるのが大池橋。真室川町差首鍋の左岸・大池と右岸・大平の両集落を結び、住民同士の往来や交流、農産物の搬送に利用されてきた。老朽化したため下流側に新たな橋が造られており、2012年度中には開通する。
1935(昭和10)年ごろまでは、高坂橋と同様に丸太と柴を使った橋で、秋に住民総出で架設に当たった。流されないように丸太の端に穴を開け、フジづるや縄で岸につないだ。大平集落の佐藤豊安さん(78)は「大池に牛や馬の餌となる採草地があり、大平の住民たちがこの柴の橋を利用したものだ」と説明する。
その後架けられたのがつり橋。橋近くの高橋信一さん(80)は「子どものころ、つり橋を渡っている最中、飛ばされそうになったことも何度かあった」と苦笑する。木材を運ぶため木橋から頑丈な鋼橋(長さ68.5メートル、幅4.2メートル)になったのが70(昭和45)年。「作業員10人ほどが、半年近く自宅隣の小屋を借りて工事に携わった」と高橋さん。
15メートル下流で新しい大池橋(長さ71メートル、幅6メートル)の建設が進む。佐藤さんは「JR釜渕駅への近道だったのが、大池橋を渡って山越えするルート。両集落にとってはなくてはならない橋だった」と振り返った。
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