やまがた橋物語

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丹生川編[2]

◆横石橋(尾花沢)

横石橋(尾花沢)の写真 鶴子頭首工の建設用に架設されたが、今は住民のための橋として使われている=尾花沢市鶴子

 尾花沢市鶴子の「横石橋」(全長36メートル、幅4メートル)は、山あいの緑に覆われた横石地区にあり、未舗装の農道を結んでいる。むき出しの鉄骨とコンクリートが印象的で、上部構造は欄干代わりのガードレールが取り付けてあるだけだ。

 横石橋には、橋を飾る欄干と親柱のほか、橋名を記したプレートすらない。飾り気がなく「質実剛健」そのものの外観は、その出自に由来している。本来は工事用の橋だったからだ。

 丹生川沿いに広がっている1450ヘクタールの水田に、かんがい用水を安定供給するため、丹生川から取水する鶴子頭首工が横石地区に建設された。関連工事を含む施工期間は、1986(昭和61)年から足掛け5年の月日を要したという。そのため工事用の大型トラックなど重い車両が通行しても、びくともしない造りになっている。

 「昔、この場所で丹生川を横切るには、歩いて渡るほかなかった」と近くの会社社長伊藤勇太郎さん(66)は振り返る。水かさが増えた時、鶴子住民が対岸の鴻ノ沢や柏木山に広がっている水田と畑に行くには、約500メートル下流にある滝の橋まで下らなければならなかった。伊藤さんは「春先など大水になると、雪解け水が合わさり、近年でも横石橋の上部まで水が上がる」と話す。

 頭首工が完成後、鶴子地区連合区会が地域住民の総意として、事業者の東北農政局と県、市に横石橋の存続を強く要望し受け入れられた。工事の時は私有地に架かっていたため、橋はそっくり10メートル下流に引っ越して残ることになった。

2009/07/07掲載
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