酒田市芹田と遊佐町豊岡を結ぶ鳥海橋は、国道345号のバイパス化に伴い、1982(昭和57)年に架け替えられた。長さ155メートル、幅11.5メートルのコンクリート橋(PC橋)で、庄内平野北東部を南北に結ぶ交通の要衝とあって、行き交う車の量も多い。
この橋が開通する以前は、100メートルほど上流に橋が架けられていたという。コンクリート製の橋に木製の欄干が設置されたもの。バイパス化前の旧国道345号が遊佐町豊岡の石辻集落を抜けており、車は日向川で隔てられた対岸の旧八幡町に渡るため旧橋を利用していた。
旧橋があった付近に住む行政区長の阿部英吉さん(67)=遊佐町豊岡=は「前の国道は舗装がされていない時期もあり、冬に渡ろうとすると車がスリップして立ち往生し、橋の周辺はたびたび渋滞した。1年を通してバスやトラックが集落内を通り抜け、とてもにぎやかだった」と振り返る。幼い時から石辻集落で暮らす庄司与喜雄さん(84)=同=は「橋付近の川で子どもたちが魚釣りや水遊びを楽しんでいた。見ていてほほ笑ましかった」。
県庄内総合支庁道路計画課によると、現在の橋の完成に伴い、以前の橋は間もなく取り壊されたという。石辻集落内もバイパスの完成で交通量がめっきり減り、昔のような騒がしさはなくなった。阿部さんは「本当に静かになった。集落を歩く子どもたちの安全もしっかり確保されるようになり、安心している」と話した。
|
|