東根市観音寺のコンクリート製の蟹川橋(長さ55.32メートル、幅14.5メートル)は、本県と宮城県を結ぶ国道48号(関山街道)につながる主要地方道尾花沢関山線にある。1882(明治15)年の旧関山街道の開通以降、木造橋の時代から両県を結ぶ幹線道の一つであり、現在も両県ナンバーの車両が多数通行する。
先代もコンクリート製で1969(昭和44)年に完成。この時の幅は7メートルだったが、道路の拡幅工事などに合わせ88(同63)年に現在の橋に架け替えられた。地元住民によると、69年以前は木造橋で、板の上にスギの皮や砂、土を敷いた構造だった。地元住民はもちろん、当時、地元で生産が盛んに行われていた葉タバコや炭のほか、宮城県の海産物を運搬する業者が行き交ったという。
橋の近くに住む農業大江秀一さん(75)は、その往来の歴史を間近で見てきた。大江さんは「現在の関山トンネルが開通した68(昭和43)年から車の通行が多くなり、尾花沢関山線の拡幅工事でさらに増加した。今は午前4時ぐらいから車が通り、交通量の多い時間帯は家の前から道路を横断するのにしばらく待っているほどだ」と語る。
尾花沢関山線は、県道東根大森工業団地線を経て国道13号や国道287号とのアクセスも良いため、東根以北と宮城を結ぶ近道になっている。大型トラックが頻繁に行き交う物流の大動脈として、橋もさらに重要性を増している。
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