舟形町長沢の松原橋は、国道47号亀割バイパスの整備に伴い、架設された。新庄市から最上町、宮城県大崎地方に向かうルート上にあり、交通量も多い。橋周辺には奥州平泉に向かう源義経主従が通ったと伝わる峠や古道が残る。
同47号新庄-舟形間(国道13号と重複)の交通渋滞の解消に向け、1992年に開通したのが亀割バイパス。松原橋はその一部として88年に建設された。長さ158メートル、幅12メートル(片側歩道付き)で、最上方面に向かって橋全体が緩い左カーブとなっている。バイパスの完成で新庄-最上間は10分余り短縮された。
国道47号沿いに特産物即売店を構える大場和夫さん(74)=同町長沢=は「松原橋から最上小国川の上流を真っすぐ眺めると、視界に入るのが『義経記』に出てくる亀割山。義経一行がこの山を越えたと伝わる峠や、江戸期に新庄藩が整備した瀬見街道などの古道が残り、歴史ロマンをかき立てる」と話す。
松原周辺で捕れる天然アユ「松原鮎(あゆ)」は、東北地方訪問のため舟形を通過した明治天皇に献上され、宮内省から賛辞をもらったという。この最上小国川のアユの保護と豊漁を願って建てられたのが石碑「鮎塚」。木々に囲まれ、特産物即売店の西側にひっそりとたたずむ。
同町長沢出身の故大場啓さん(東京都)が83年に建立したもので、高さが約1.9メートル、幅1.2メートル。碑には大場さんが詠んだ「鮎の里 母なる川の 清らかに」の句が刻まれている。古里の豊かな自然とアユをこよなく愛した熱い思いが伝わってくる。
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