真室川町釜渕地区から春木集落を通り金山町中田の国道13号に抜ける県道釜渕中田線に架かるのが釜淵橋。1975(昭和50)年8月の大水害時には災害復旧道路として大きな役割を果たした。
初代は、丸太と柴の木を活用した柴橋。現在の橋の上流約300メートルに架けられていたが、28(昭和3)年に2代目(コンクリート製)が架設された。幅は車1台が通行できる程度で交互通行していたという。
祖父が神主だったという、近くの井上欣一さん(85)=釜渕、無職=は「渡り初めでは神主を先頭に住民らが盛大に完成を祝う写真が残っている」と語る。太平洋戦争中、鉄製の欄干の一部が切り取られ、軍に供出されたとの逸話も残る。右岸の橋のたもとには、こんこんと湧き出る冷たい清水があり、通行人たちののどを潤した。
老朽化に伴い、73年に今の橋に架け替えられた。全長約58メートル、幅8.3メートル。75年の大水害では橋桁近くまで増水したが、流失は免れた。災害救援と復旧作業では金山町の国道13号から釜渕地区に入るルートとして役割を担った。
近くの大友和子さん(77)=同、自営業=は振り返る。「自衛隊などの車両が橋を渡り、店舗前を通って被災現場に向かった」。架橋の流失が相次いだ中で、釜淵橋の存在を町民に知らしめた。
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