向の原橋(全長六十八メートル)は一九八二(昭和五十七)年に完成し、西川町本道寺地区を走る国道112号と同町月岡地区を結ぶ。月岡地区の住民にとっては、町道月岡入間線を経て国道に至る最短のアクセスルートになっている。
東北電力の発電所建設の工事用道路として、国道112号から向の原橋を含めて町道月岡入間線までの三百三十メートルが整備された。発電所建設に伴って重量物搬入路が設けられ、大型車が巡回できるように、国道から本道寺地区を経てから建設現場、月岡地区、そして国道へとつながるルートを設定。向の原橋は寒河江川をまたぐ新たな橋として建設された。
寒河江ダムや発電所の建設当時と、その後の山形自動車道を整備していた時期は、大型車が頻繁に往来していたが、今はすっかり静かさを取り戻している。「ダムや高速道路の整備によって地区の姿は大きく変わった」と本道寺地区会長の黒田宣幸さん(71)=月岡。十五世帯から成る月岡地区だが、向の原橋を含むルートは、「国道や町中心部、寒河江方面に最短で行ける路線で、地区住民の生活を支えている」と言う。
新緑に包まれ、橋の上にたたずむと、ウグイスなど野鳥のさえずりが聞こえる。下流の水ケ瀞ダムは雪解け水をたたえ、青緑色の湖面が周囲の景色に映える。見上げれば、山形自動車道の本道寺月岡橋(全長九百八十一メートル)の橋脚がそびえ、多くの車両が疾駆する橋が山々の間を貫いている。
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