やまがた橋物語

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寒河江川後編[11]

◆萱野つり橋(西川)

萱野つり橋(西川)の写真 寒河江川の水音が心地よい。周囲の風景も印象深い萱野つり橋=西川町

 萱野つり橋(全長四十六メートル、幅一・五メートル)は、西川町大井沢の萱野集落に架かる。一九六五(昭和四十)年に木柱のつり橋が洪水で流失したため、翌年に強度の高い鉄柱の現橋に架け替えられた。右岸の山林前に畑が広がっている。橋は主に農作業用に使われてきたが、現在は車で渡れる上流の中上橋の方が利用されている。そんなつり橋だが、周囲を見渡すと、すがすがしい風景が広がっている。

 「冬は住民交代で橋の雪かきをやっている。管理が大変だが、風景になじんでいていい橋なんだ。撤去話が持ち上がったこともあるが、住民は残したいという思いが強いよ」。右岸の畑で農作業をしていた志田八郎さん(73)が話す。志田さんは大井沢に工房がある菊摩呂こけし作りの職人でもある。菊摩呂は父親の名前で、菊模様のこけしは全国の愛好家に知られる。「わたしの父が創作したこけしの制作を今は長男が受け継いでいる」と志田さん。こけしの素材であるイタヤカエデは畑近くの木を利用することもあり、昔はよく小さく割った木を背負って橋を渡った。

 山形市から訪れた女性二人が橋の上へ。共に六十歳で中学時代の同級生だという。一人は「ここは釣り好きな夫が大好きで、家族の思い出の場所。何度も来ている」。もう一人は「青い空と山の緑と白い月山を見ていると胸がいっぱいになる時がある」と話し、風景を見渡した。

 週末になると橋を渡る人が目立つ。上流に永久橋の中上橋が架かり、萱野つり橋の必要性は薄れてきたのかもしれないが、この橋と周囲の景観が好きになって訪れる人は後を絶たない。

2009/05/25掲載
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