やまがた橋物語

>>山形新聞トップ >>やまがた橋物語 >>最上川第6部 滝のつり橋(米沢)

最上川第6部[10]

◆滝のつり橋(米沢)

滝のつり橋(米沢)の写真 秘湯の一軒宿に湯治客を渡す滝のつり橋。冬季間は橋板が外される=7日、米沢市・大平温泉

 最上川の源流部に位置し、「米沢八湯」の一つに数えられる米沢市の大平(おおだいら)温泉。秘湯の一軒宿を訪れる湯治客が必ず渡るのが、沢の上に架けられた「滝のつり橋」だ。温泉宿が閉鎖される冬季間は橋板が外されるので“季節限定”の橋となっている。

 最上川の急流が深く刻んだ峡谷の一軒宿「滝見屋」。「火焔(ひのほえ)の滝」をはじめとする名瀑(めいばく)が連なる景勝地としても知られ、春から秋のシーズン中は多くの湯治客が訪れる。

 米沢市中心部から、つづら折りの山道を車で上ること約四十分。駐車場で車を降り、さらに徒歩で二十分ほど坂を下ると、ようやくつり橋が見えてくる。

 全長二十メートル、幅は一メートルほど。両岸の巨大な岩にくくり付けたワイヤの骨組みに木の板を渡した構造で、眼下では滝から流れ落ちた清流が水しぶきを上げる。春は新緑、秋は紅葉と、まるで周囲の豊かな自然に溶け込むかのように橋は架かる。

 辺りが雪景色へと移り変わるのを前に、一軒宿は長い冬ごもりに入る。シーズン最後の湯治客を送り出すと、宿の従業員は総出で雪囲いを済ませ、里に下りる。その最後の日、雪の重みで橋が落ちるのを避けるため、つり橋の板が外される。今年は今月七日、冬ごもり作業が行われた。

 一軒宿が来季の営業を再開するのは五月初め。従業員たちは峡谷をすっぽりと覆う雪をかきわけて進み、つり橋に板を一枚一枚取り付ける。湯治客が再び訪れるころ、橋の下に吾妻連峰の雪解け水がごうごうと音をたてて流れている。

2007/11/14掲載
下流へ上流へ
[PR]
[PR]