流れが止まっているかのような穏やかな川面に新旧二本の最上橋が架かる。このうち、一九四〇(昭和十五)年に完成した旧最上橋は地元の愛着も深く、川と橋が織り成す景観は「水郷の町」のシンボルになっている。
旧最上橋は美しい三連アーチが特徴。きれいな半円を描いていることから、地元では別名「太鼓橋」とも呼ぶ。欄干もコンクリートで造られており、昭和のレトロ感が漂う。二〇〇三年度には、社団法人土木学会から「選奨土木遺産」の認定を受けた。
橋がある一帯は、江戸時代に舟着き場として栄えた。一九二八(昭和三)年には県内初となる花火大会が開かれ、今も夏の風物詩として続いている。
「ここは、最上川の中でも一番川面が静かな場所です」と話すのは、大江町観光協会の前会長、伊藤宗三さん(75)=同町左沢。川岸には花火大会で使う木舟が浮かんでおり、「川面に映し出された橋と木舟が非常にマッチする」と語る。
新最上橋は〇三年、旧橋の上流約二百メートルに、国道458号の一部として完成した。延長一二九・五メートル、幅一六・五メートル。大江町と寒河江市を結ぶ基幹道路として利用されている。
橋の近くにある楯山公園からは、大きくU字に曲がる最上川と新旧二本の橋、遠くそびえる山々が一望できる。その眺望から、この公園は別名「日本一公園」と呼ばれている。
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