中山町と寒河江市を結ぶ直線的で淡い青緑色の長崎大橋。長さ約三百四十メートル、幅九・五メートルのこの橋は、朝夕は山形市などに通勤する人たちの車が連なり、片側に設けられた歩道は自転車に乗った高校生らが行き交う。
現在の橋は二代目。渡し船に代わって一九三三(昭和八)年に架けられた初代長崎橋の老朽化や、国道112号のバイパス化を見込んで六九年に架け替え工事が始まり、二年後に完成した。現在、この橋に平行して新しい橋の建設工事が進められている。幅を約十二メートルまで広げて耐震性を補強。現橋と新橋で二車線ずつの分離通行を実施して渋滞の緩和を図るのが狙いで、本年度内の完成を目指している。
中山町寄りの橋の下には、水遊びが楽しめる最上川せせらぎ公園や多目的運動広場があり、休日には多くの人が集う。秋は、山形の風物詩「芋煮会」を楽しむ人たちでにぎわいを見せる。
三十年前に小学生の娘二人を連れ家族四人で橋の近くに引っ越してきた三浦キミ子さん(68)=寒河江市島=は、「橋の下の川沿いでよく子どもたちと遊んだよ」と当時を振り返る。今は、その娘さんの一人が橋の向こう側の中山町内におり、今年八月にキミ子さんにとって四人目の孫が生まれる予定。「娘は橋を歩いて渡って会いにくるのよ。孫と一緒に遊ぶのが楽しみ」とほほ笑んだ。長崎大橋は、地域の生活を支えるだけでなく、家族の心の懸け橋にもなっている。
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