やまがた橋物語

>>山形新聞トップ >>やまがた橋物語 >>前川編 前川大橋(上山)

前川編[7]

◆前川大橋(上山)

前川大橋(上山)の写真 バスや車の往来が多い前川大橋。県道はJRかみのやま温泉駅に続いている=上山市

 上山市のJRかみのやま温泉駅から続く駅前商店街沿いに300メートルほど歩くとたどり着くのが前川大橋(全長22メートル)。上山の玄関口として車の通行量は多く、朝夕には電車通学のために橋を利用する高校生などの姿も目立つ。

 かつて駅前商店街の突き当たりには市中心街の十日町や二日町、矢来1丁目の商店街などに通じる丁字路があり、多くの市民が往来した。駅前の県道整備工事に伴い丁字路は十字路に切り開かれ、その先に1968(昭和43)年、前川大橋が架設された。交通の便が格段に良くなると同時に、商店街の人出は分散。街並みや市民生活に大きな影響を与えた。

 前川大橋が完成した年、橋のすぐ東側で営業を開始した居酒屋がある。同市矢来3丁目の「ほてい屋」。東京でのサラリーマン生活を経て帰郷し、30代で開業に踏み切った店主の斎藤三郎さん(74)と、同地区で生まれ育った妻美代子さん(74)は、約40年間にわたり橋の歴史を見守ってきた。

 美代子さんにとって、前川は幼いころに川遊びをした思い出の場所。「女の子も割りばしの先に針を付けて魚突きをしていた。川は今より狭くて浅かったので、雨が降って水量が多い時の方が泳いで楽しかった」と懐かしそうに振り返る。

 「今思えば橋のそばに店を構えて良かった」と三郎さん。「この商売にとって川のほとりは縁起が良い場所と言われている。お客さんに『橋のたもとの赤ちょうちん』と言って店を覚えてもらえるし、私たちにとってとてもありがたい橋です」。店と「同い年」の縁でつながる前川大橋への感謝をしみじみと語った。

2010/03/10掲載
下流へ上流へ
[PR]
[PR]