やまがた橋物語

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前川編[4]

◆大川橋(上山)

大川橋(上山)の写真 上山市中心部と八日町地区を結ぶ大川橋=上山市

 上山市の観光名所・上山城から続く下りの一本道をたどると、城下町の風情を残す同市栄町1丁目の入り組んだ路地に出る。その道の先にあるのが1967(昭和42)年完成の大川橋(全長23.6メートル)だ。周辺の道の狭さなどから車の通行や人通りは少なく、どこかのどかな雰囲気が漂っている。

 橋の東側の市道を数十メートルほど進むと、左手に地蔵尊が祭られたお堂が立つ。上山藩が1817(文化14)年に市内48カ所に指定したとされる札所のうち第10番に当たり、今でも連日のように通う参拝者がいる。各札所ごとに御詠歌があり、この堂内にも一つの歌が掲げられている。

 「彼の岸に今ぞいたらん川むかひ 弘誓(ぐぜい)の船の棹(さお)をたのみて」

 橋が完成する前、栄町側の住民は地蔵尊を参るために舟を使って川を渡ったという。地蔵尊の成り立ちを中心に地域の歴史を調べている原田エツさん(81)=同市八日町=は「かつてこの辺りは洪水が多かった。地蔵尊に通うため、増水した川を舟で渡ろうとした様子を詠んだのでは」と歌に込められた当時の状況を想像している。

 原田さんがまとめた冊子に、橋が架けられる前に前川のたもとに立っていたケヤキの写真が残されている。毎年4月24日の地蔵尊の祭事の際、地区住民が「(子どもたちが)大樹のように太く、大きく、健やかに育つように」と祈願してしめ縄を奉納したという。65年の河川改修に伴い切り倒されたという樹齢300年以上の巨木は、地区のシンボルとして住民を見守るかのように堂々とした威容をたたえていた。

2010/03/05掲載
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