やまがた橋物語

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前川編[20]

◆朝日橋(南陽)

朝日橋(南陽)の写真 穏やかな春の日差しの中、山形新幹線を静かに見送る朝日橋=南陽市川樋

 南陽市川樋の国道13号から東に300メートルほど市道を入った所に朝日橋がある。1984(昭和59)年に完成した長さ8.5メートル、幅3.5メートルの小さなコンクリート橋。橋を過ぎると舗装がなくなり、線路に沿って途中から田んぼのあぜ道と一体になるが、かつてこの道が羽州街道だった。

 1934(昭和9)年に現在の国道13号が開通した後も、しばらくは通行量が多かった幹線道。小さな踏切を渡って小岩沢の集落に抜けていたが、山形新幹線の開通と前後して踏切は閉鎖され、あぜ道が雪に埋まる冬場は行き止まりになる。このため朝日橋も、線路沿いの変電所に向かう作業員や農作業の車が時折通るだけだ。

 「丸太を組んだ木橋が古くなって今の橋ができたけど、既に通る車も少なかったから渡り初めもなかったなあ」。地区の沿革を調べている小岩沢の小松久一郎さん(82)が振り返る。「上流、下流の橋と区別して中(なか)ノ橋と呼んでた。なんで朝日橋という名前になったのか由来も分からないな」と笑った。

 市道わきに大きな工場を構える金属加工「南陽精凾」の鈴木則男社長(65)は地元出身で「小さいころはよく前川で泳いだりウナギやハヤを捕まえた。通る車も少なかったからバイパス(現国道)の上で野球してたよ」と懐かしむ。一方で、「朝日橋? 社員も(市道の奥の)あの橋は通る必要ないからねえ。歩く人も見ないよ」。すっかりその役目を終えたように、静かにたたずむ朝日橋のすぐ脇を、山形新幹線の近代的な車体が悠然と走り抜けた。前川をさらにさかのぼって南に向かうと新田のため池にたどり着く。置賜の北端から村山盆地へと流れる前川の始まりは、広々とした水田地帯だった。

2010/04/02掲載
下流へ前川編おわり
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