やまがた橋物語

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前川編[19]

◆吉田橋(南陽)

吉田橋(南陽)の写真 今年で架橋130年となる吉田橋。石造りの橋は歴史の重みを感じさせる=南陽市小岩沢

 南陽市小岩沢の国道13号そばで、レトロな石橋が存在感を放っている。初代県令・三島通庸の命で1880(明治13)年、前川に掛けられた吉田橋だ。長さ約12.6メートル、幅約7.2メートル。地元産の凝灰岩を使った和洋折衷様式の橋で、1968(昭和43)年に市文化財に指定された。

 橋の名は、工事を請け負った石工の吉田善之助をたたえて付けられた。南陽市史によると、吉田は現在の同市宮内出身で、県の黎明(れいめい)期に行われた数多くの土木工事にかかわった。この橋の近くには、同じく吉田が手がけた小巌(こいわ)橋(通称蛇橋)がある。南陽市民に親しまれている烏帽子山八幡宮の大鳥居も、吉田の手によるものだ。

 明治時代の建築技術を今に伝える吉田橋。34(昭和9)年に小岩沢地区を通る現在の国道13号が開通するまでは、この橋を含む旧羽州街道がメーンストリートだった。戦後、進駐軍の車が親柱にぶつかったという逸話は残るものの、昭和初期に通る車はほとんどなく、「橋の周辺で兵隊ごっこなどをして遊んだものだ」と近くに住む川崎清七さん(87)。妻フサヨさん(87)も「夏になると、よく水遊びや砂遊びに出掛けた」と懐かしむ。

 所々にコンクリートで補修された跡はあるが、今も朝夕を中心に車が行き交うなど橋はまだまだ健在。3月末で閉校となった中川中生徒が足早に渡る姿も見られた。2010年度中には近くの岩部山を貫通する上山バイパスが完成するため、周辺の交通事情は再び一変する。

2010/04/01掲載
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