やまがた橋物語

>>山形新聞トップ >>やまがた橋物語 >>前川編 前川橋(上山)

前川編[10]

◆前川橋(上山)

前川橋(上山)の写真 高松地区の家々を背景にした前川橋=上山市

 前川橋(全長28メートル、幅9メートル)は、1985(昭和60)年に架け替えられた永久橋。東の上山七ケ宿線(羽州街道)と西の国道458号を結ぶ路線上にあり、上山市高松地区周辺の交通の要衝でもある。

 前高松地区会長の小笠原宣明(のりあき)さん(68)によると、現橋の前は木橋で、その前は簡素な板橋だった。昔は水害が多発した場所で、橋から200メートルほど下流地点の土手には今も水神を祭る石碑が立っている。石碑の前では水害が無いよう祈願したり、昭和25年ごろまでは干ばつになると雨ごいの儀式を行った。「雨ごいは住民が総出で集まり、夜に火をたいて祈願した。雨が降るまで毎晩続けた」と小笠原さん。中には高畠町二井宿にある神社まではるばる歩いて行って雨ごいする人もいた。前川橋を渡って出発し、羽州街道を通り、楢下宿から柏木峠を越えた。この参拝はたびたびあり、高松地区と二井宿地区の間にはいつしか人の縁ができ、両地区の男女が結ばれることもあったという。

 橋の周囲には昔と変わらず田畑が広がり、数年前から白鳥が飛来するようになった。橋の上から東の方角を望むと手前に三吉山がそびえ、後方には雄大な蔵王連峰があり壮観。だがそれ以上に小笠原さんが気に入っているのは、西の方角の風景だ。「橋の上から山並みをバックにした高松地区を一望できる。立ち止まってじっと眺めることもある。子どもの時からずっと暮らしてきた場所だし、地区の歴史を思うと感慨深くなることがある」とほほ笑む。前川橋は小笠原さんにとって地域への愛着が増す場所でもある。

2010/03/16掲載
下流へ上流へ
[PR]
[PR]