社説

県産米のブランド戦略 評価安定と向上へ一丸

 本県の水稲農業関係者に2月下旬、衝撃が走った。日本穀物検定協会による2016年産米の食味ランキングで、最高ランク「特A」を売りにしてきた主力品種「はえぬき」の評価が5段階で一つ下の「A」に落ち、「特A」連続獲得が22年で途切れたからだ。そのため県やJA全農山形などは今年、ランキング発表直後から「特A」奪還に向けて動きだし、「県産米特A獲得プロジェクト」を立ち上げて各種施策を展開してきた。

 その取り組みの成果となる17年産は、低温と日照不足で作況が6年ぶりに「平年並み」となったものの質の面では例年と遜色なく、現在は食味評価に出品するコメを選定している段階だ。産地間競争が年々激しさを増す中、今年の取り組みが「はえぬき」の最高ランク返り咲きはもちろん、県産米全体の高評価維持につながることを期待したい。

 「はえぬき」は1992年のデビューから25年になる。収量が多く稲が倒れにくい作りやすさと食味の良さから、今なお県産米の生産量全体の6割を占める主力品種だ。だが価格変動の影響を受けやすく、2014年産は米価下落と価格競争で値を落とした。16年産は「A」評価後も食味への評価は根強く売れ行きは好調を持続しているが、今後も「特A」の評価を失ったままでは販売や宣伝に痛手となる懸念は否めない。

 食味ランキングで「はえぬき」が評価を下げた要因について、県などの関係者は審査方法の変更が背景にあると分析する。従来の審査は1銘柄1地区のコメを試食していたが、本県のように単一の産地として出品する場合は16年産から、1銘柄当たり2地区で収穫したコメを混ぜて試食する方法に変わったという。この方法で食味にばらつきが出たことで、評価を下げた可能性が指摘される。

 県単一出品は販売戦略の共通化といったメリットがあるが、全国的には評価が下落するリスクを避け、産地を地域ごとに区分して出品する傾向にあるという。こうした点から本県も、17年産は地域区分に変更し出品する方針だ。県総合支庁単位で「特A栽培モデル圃場」8カ所を設定し、地域特性に応じた栽培技術の普及を図ってきた成果が試されよう。

 一方、10年に誕生した「つや姫」は適地のみで作付けし、生産者を限定した品質重視の販売戦略でトップクラスの食味と人気を誇る。来年秋に本格デビューする新品種「雪若丸」は生産組織を登録制にして品種特性を最大限に引き出す狙いで、価格は「はえぬき」より高く「つや姫」よりは手頃な水準を見込む。県産米全体を主力の「はえぬき」が支え、「つや姫」と「雪若丸」がけん引する3本柱のブランド戦略を描いている。

 国の生産調整(減反)が今年で廃止となり、来年から売れるコメしか生き残れない“戦国時代”を迎える。産地間競争の激化に加えて、生産者の高齢化と担い手不足が深刻化する一方、人口減少による需要縮小や気候変動など水稲農業を取り巻く環境は厳しい。そうした中でブランド米産地を維持していくには、評価安定と向上の取り組みが不可欠だ。県内産地全体にとっても、「はえぬき」悲願の「特A」復活を果たしたい。

(2017/12/06付)
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