社説

最上地域の林業振興 知恵を絞り成長産業へ

 最上地域は、林業振興に向けた先進的な取り組みが評価され、林野庁の支援モデル事業「林業成長産業化地域」に選定された。該当期間は5年で、ことしが2年目。安定供給と持続可能な経営の実現に向け、効果の高い施策を展開し、本県全体の林業振興への道筋をつけることが期待される。

 この事業は昨年スタートし、森林資源の利活用で雇用や経済価値を創出する可能性がある地域を林野庁が集中的に支援する。金山町と金山町森林組合が主体となって最上地域を対象としたプランを考え、「最上・金山地域」の名称で申請した。全国で28地域が選ばれ、本県ではここが唯一となった。

 ソフト面の施策に年間625万円、ハード面は年間上限9千万円の補助金が5年間支給される。地域林業が抱える課題解決への取り組みを大きくサポートする事業と言えるだろう。このチャンスを逃さず成果を出し、県内全域に波及させることが求められる。

 課題は造成から生産、流通、消費の流れの中での▽資源の循環▽木材の安定供給▽木材の高付加価値化▽人材育成-など。プラン遂行に向けては素材生産者、製材・加工業者、木材需要者など多くの関係団体が参画しており、県も協力する。情報を共有し、強固な連携を図りたい。

 主要な取り組みとして「情報通信技術(ICT)を活用した森林データベースに基づき、正確な立ち木評価や生産性の高い伐採計画づくりを行い、森林所有者に主伐・再造林を提案し、山元に利益を還元する」ことを挙げた。

 中でも大きな期待を集めるのがICTを使った森林情報基盤整備だ。既に金山町と金山町森林組合が、航空レーザー計測を用い、民有林の樹種、本数、木の直径などを把握する画期的な事業を実施している。これにより、間伐が必要な箇所、山の地形、道路網の状態といった幅広い情報が正確につかめるようになった。

 モデル地域となり、これをさら推進し対象範囲を広げていく。森林の機能区分や資源量を明確にし、効率的な管理の下で森林資源の循環や安定供給体制を実現させることを目指す。

 このほか、高性能林業機械の導入を進め、機械やオペレーターをシェアすることで協業体制を築くこと、木材の新たな需要創出で付加価値を上げ、金山杉のブランド化促進や県産材のアピールにつなげることなどを重点施策に挙げている。ソフト面にも力を入れ、今月は「人材育成塾」を開催した。

 最上地域は8割が森林で面積は14万ヘクタール超に及ぶ。高齢級の森林割合が高いことなどから素材生産量は県内全体の3割を占める。まさに森林王国だ。大型集成材工場や木質バイオマス発電所が相次ぎ稼働し、県立農林大学校に林業経営学科が設けられたことなどは追い風と言えるだろう。

 林業振興は県の地方創生施策「やまがた森林(モリ)ノミクス」の狙いにも合致する。モデルとなった最上地域が工夫とアイデアで成長産業に押し上げ、「2020年度の県内木材生産量60万立方メートル」という目標実現のけん引役となることを望みたい。

(2018/10/15付)
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