社説

県の2018年度予算案 「創生」の道筋を示そう

 県の2018年度予算が示され、県議会2月定例会で審議が始まった。一般会計の総額は前年度当初比1.3%減の6051億4300万円。2年連続のマイナス予算編成となったが、6千億円を超える規模を9年連続で維持した。

 3期目の2年目を迎えた吉村美栄子知事は記者会見で「やまがた創生の展開強化」の予算と位置付けて「山形の価値を高めることに力点を置いた」と強調。残る計画期間が2年となった「やまがた創生総合戦略」を踏まえ「チャレンジし、価値を高め続けなければならない、との思いが込められている」と意気込みを示した。県人口の減少を真正面から捉え、その流れに歯止めをかけるとともに、「創生」に傾注する姿勢を明確にしている。

 県人口は1950年の135万7347人をピークに、61年まで130万人台、2006年まで120万人台を推移しながら減少した。この1年で1万1484人減少し、今年1月1日現在で109万9162人と110万人台を割り込んだ。県人口は県勢発展のバロメーターとされ、各種施策を重ねてきたが、実効性は極めて限定的だったと言えよう。

 こうした中で新年度予算案は人手不足と社会減対策が喫緊の課題と捉え、情報通信技術(ICT)を活用した各産業界での省力化と生産向上、人口流出を抑制するための若者の定着・回帰、県外からの移住を促す施策などへ重点的に予算措置した。人手不足対策では非正規雇用の正社員化や所得向上を促す事業、介護離職ゼロに向けた支援などに取り組む。ICT活用に向けては実践的な人材育成のほか、過疎地域での買い物支援モデル事業、「スマート農業」の普及促進、ロボットなどの導入モデルの構築を含め広範囲に手堅く事業化している印象も受ける。

 「やまがた創生」を実現する上で社会基盤の整備は不可欠だ。高速道路の整備やフル規格新幹線の早期実現、空港、港湾の機能充実・強化は一段と力を入れ、国への働き掛けを強めることが求められよう。地域が持つポテンシャルを引き出し、交流人口が拡大するメリットがある。

 移住定住策では、住まいと本県の食材、仕事を組み合わせた一体的支援や、企業と高校生の交流を通じた地域産業の理解促進の取り組みなどを盛り込んだ。人の流れを変えるには、個々の思いに寄り添った、丁寧で息の長い取り組みが求められる。施策の実効性を高める上で県と市町村のさらなる連携強化が欠かせない。東京一極集中は歯止めがかからず、むしろ加速する傾向すらある。「地方創生」の旗を振る国は本気度が問われている。

 18年度予算案は調整基金から112億6200万円を取り崩して編成した。18年度末の基金残高は114億200万円と見込まれ、19年度予算編成段階で底を突きかねない状態だ。県債残高は18年度末段階の実質的な額で一般会計の総額を上回る6690億6千万円が見込まれる。事務事業の見直しや行政経費の効率化など、財政規律をより強く意識することが求められよう。

 県予算は本県の活力を最大限に引き出すことが期待されている。開会中の県議会で議論を深め、「やまがた創生」の確かな道筋を描き出すことを期待したい。

(2018/02/21付)
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