社説

清川歴史公園 広域観光の“結節点”に

 庄内町の清川歴史公園は第1期工事が完成し、江戸時代の関所の様子を伝える番所や門が整備された。かつて舟運で栄えた清川地区は歴史資産が豊富で、最上峡から庄内平野へとつながる庄内と内陸の結節点でもある。新たな観光スポットの誕生を地域振興に役立てたい。

 復元したのは清川関所の川口番所や船見番所、冠木(かぶき)門、高麗(こうらい)門。川口番所は観光客の町歩きの拠点として最上川舟運の歴史などを紹介する展示スペース、観光情報コーナー、食堂を配置した。船見番所からは最上川を見渡せる。

 2009年3月に閉校した清川小の跡地を活用し整備した。地元住民らの清川地区振興協議会が12年度に清川歴史公園基本構想をまとめ、町は昨年6月、第1期工事に着手した。構想には清河八郎記念館の展示機能と運動施設、公民館などの複合施設の整備、御茶屋(本陣)の復元も盛り込まれている。

 立川町史によると、庄内藩は藩境の5カ所に番所を設置したが、清川口の番所は古口、清水、大石田との間の川船での往来を監視することから川口番所とも呼ばれ、人や物、文化の交流が最も多かった。藩は内陸へ向かう船の抜け荷を見張るため船見番所を設け、参勤交代の宿泊所にする御茶屋を清川に置いた。

 清川は最上川の水駅として発達した宿場で出羽三山詣での登拝口としてもにぎわった。源義経や松尾芭蕉、戊辰(ぼしん)戦争などにまつわる歴史的な資源が多い。

 清川の裕福な造り酒屋に生まれた清河八郎は江戸へ出て尊王攘夷(じょうい)の志士となった。明治維新の先駆けとも呼ばれる。八郎が幕府に働き掛けて組織した浪士組は新徴組、新選組の前身となった。清川に八郎を祭る清河神社と記念館がある。激動の生涯をNHK大河ドラマに-とPRに取り組む協議会が昨年発足した。東北出身の幕末の志士は珍しく、歴史公園を訪れる人たちに存在を広めたい。

 また、北楯大堰(おおぜき)は昨年、歴史的価値のある農業用水利施設を登録する「世界かんがい施設遺産」に県内で初めて選ばれた。江戸初期の狩川城主・北館大学助利長(きただてだいがくのすけとしなが)の指揮で、狩川から山を隔てた立谷沢川から取水し、清川の山沿いに堰を通す難工事の末に水路を完成させた。

 その後も堰は延長され、流域に広大な新田が開かれて米どころ庄内の礎となった。狩川に利長を祭る北舘神社や利長の銅像のある楯山公園、清川の大堰沿いには「殉難十六夫慰霊塔」「青鞍(あおくら)の淵」の碑がある。庄内町は清川や狩川の大堰を巡る遊歩道の整備を計画している。

 立谷沢川では17年に瀬場砂防堰堤(えんてい)、六渕砂防堰堤の2件が国の登録有形文化財になった。北楯大堰と並び、最近注目されているインフラツーリズムの素材として生かしたい。

 清川は国道47号から同町立谷沢地区に向かう入り口に位置する。立谷沢から羽黒山頂に至る羽黒古道はかつての参拝道で時代とともに忘れ去られていたが、地域住民らが復活させた。羽黒古道と清川関所跡はともに日本遺産「出羽三山『生まれかわりの旅』」の構成文化財に指定されている。清川歴史公園が地元の魅力を高め、庄内全域や内陸を含めた県観光の発信拠点になることを期待したい。

(2019/05/20付)
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