社説

加計問題、臨時国会要求 政権は説明しないのか

 「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」「国会の閉会、開会にかかわらず、分かりやすく丁寧に説明していきたい」。安倍晋三首相は、加計学園問題が大きな議論になった通常国会を振り返り、閉会を受けた記者会見でこう述べた。

 しかし、現状の内閣の姿勢はどうか。それを実行しているだろうか。

 民進党など4野党は22日、憲法の規定に基づき臨時国会の召集を要求した。

 首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設計画を巡り、首相最側近の萩生田光一官房副長官の発言を記録したとされる文書が文部科学省で新たに見つかり、国家戦略特区における事業者選定が「加計ありき」で進められたとの疑念が深まったためだ。

 新たな文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」の見出しで、安倍首相が2018年4月開学という期限を設ける意向を示しているとの内容が含まれていた。内容が事実なら、昨年11月に特区諮問会議が獣医学部新設計画の方針を決定する直前に、首相の意向をくむ調整が図られていたことになる。萩生田氏は発言を否定している。

 先ごろは、「総理のご意向」といった内閣府側の発言を書き留めた文書などについて、文科省が再調査で存在を確認。だが内閣府の方は内容を全面否定し、両府省の調査結果に食い違いを残したまま国会は閉幕している。

 民進党は安倍首相が出席する衆院予算員会での閉会中審査を求めたが、自民党は拒否。新証言を行った前川喜平前文科事務次官らの証人喚問も実現しておらず、事実解明のめどは立っていない。

 臨時国会の早期召集に安倍政権は否定的な見解を示しているが、「指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」という首相の言葉を今まさに実行すべきなのではないだろうか。

 与党・公明党の山口那津男代表も22日、加計問題に関し、閉会中審査の開催を検討するよう求めた。

 世論調査では政府側の説明に「納得できない」との答えが73%に上っている。閉会中審査にも臨時国会にも消極的では世論の声に背を向けることになろう。

 憲法53条は「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求」があれば内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと定めている。ただ開会時期の定めはなく、実際に開催するかの判断は政権に委ねられる。振り返れば、安全保障関連法が成立した後の15年10月に野党が召集を求めた経緯があるが、安倍政権は同年中に国会を開かなかった。

 一方で自民党は野党時代の12年に発表した憲法改正草案で、臨時国会について「要求があった日から20日以内に召集されなければならない」としている。ならば実践するのが筋だ。野党時代のもので今は別などという理屈は通らない。

 「(7月2日投票の)都議選が終わった後に考える」(自民党幹部)との声もあるようだ。しかし、文科省に官邸と内閣府が手続きを早めるよう迫り、行政がゆがめられたのではとの疑念はますます膨らんでいる。政権はこの問題を避けるべきでない。

(2017/06/24付)
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