社説

認知度上げる最上伝承野菜 交流人口拡大の資源に

 最上地域の「最上伝承野菜」が認知度を着実に上げ、ファンを増やしている。現在は同地域の26店舗がこれを生かした自慢の料理や商品を一斉提供するフェアを開催中だ。観光客らに魅力をさらに印象付ける好機にしたい。

 最上伝承野菜は、おおむね1945(昭和20)年以前から最上地域にあり、現在も栽培・自家採種している野菜や豆類を指す。2005年度に生産者、飲食店・加工業・産直関係者、県、市町村などからなる研究会が組織され、発掘と調査を進め、23品目を認定した。

 その後、研究会を継承する形で「推進協議会」が発足し、普及拡大に取り組み、品目数は30まで拡大。さらにことし10月に「畑(はた)いものこ」(主な栽培地・新庄)と「米(よね)さずべ芋」(鮭川)を追加認定し、計32品目となった。

 風土に根差した新たな地域資源が増えるのはうれしいことだが、もともと生産量は総じて少なく、農家数、継承状況も品目ごとに違っている。産地の意向を踏まえたきめ細かな支援が求められる。

 そうした中で「畑(はた)なす」(新庄)「弥四郎ささぎ」(真室川)「エゴマ」(戸沢)などは生産者のグループ化が進み、真室川では今春、伝承野菜栽培農家が独自に会をつくり、生産拡大に意欲を見せている。これは推進協の長年の支援の成果だろう。

 畑なすに加え、「最上赤にんにく」(最上ほか)「勘次郎胡瓜(きゅうり)」(真室川)「角川(つのかわ)かぶ」(戸沢)は需要拡大傾向にある重点品目と位置付けている。この4品目の生産者は今後仲間を増やし、栽培面積、販売数量を伸ばしていきたいと前向きだ。

 最近脚光を浴びているのが「甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)」(真室川)。大沢地区の農業佐藤春樹さんの家系が代々栽培する一子相伝の里芋で、ぬめりが強く柔らかいのが特徴だ。収穫体験ツアーなどを積極的に展開し、県内外からファンが訪れる。テレビのグルメ番組でも紹介され、人気に拍車が掛かった。こうした動きは伝承野菜全体の販路開拓に勢いを付ける。

 今後は生産と需要の拡大を並行して図っていくことが必要だ。生産安定化のためには栽培技術の向上が不可欠で、畑なすや角川かぶで実績のある県立農林大学校や県最上総合支庁の力を引き続き借りたい。

 一方の需要拡大に向けては、関連業者を招いた視察・商談の機会をさらに増やしてほしい。仙台市の日本料理店がこの夏、複数の最上伝承野菜を提供するフェアを開催し好評を博したという。こうした事例を積み重ね、興味を持った県外客の来訪につなげたい。

 年2回開催の「最上伝承野菜フェア」は今回が8回目で、来年1月8日まで。飲食店、旅館、産直など26店舗が食材の味を生かしたさまざまな料理や加工品を提供している。着実に浸透し、店巡りを楽しむリピーターを増やしている。

 さまざまな手段で情報を発信し、交流人口の拡大に結び付けることが推進協の大きな目標で、今後の成果に期待する。生産者の高齢化が徐々に進んでおり、栽培継承策も真剣に考えていきたい。

(2017/12/18付)
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