社説

視覚障害者の歩行誘導マット 促進したい導入の動き

 屋内で視覚障害者の移動を手助けする歩行誘導マットの導入が県内でも徐々に進みつつある。街頭などに敷設されている点字ブロックと違って表面の凹凸がごくわずかなため、車いすの通行などに影響が少なく、比較的容易に施工できるといったメリットもある。

 先月、寒河江市総合福祉保健センター(ハートフルセンター)内への設置で県内5例目となったが、視覚障害者が窓口に訪れる市町村など公共施設の多くにはまだまだ普及していないのが現状だ。

 歩行誘導マットは、厚さ約7ミリのゴム製で、視覚障害者は踏んだ足の裏の感覚や白杖(はくじょう)の音・感触で認識し、どの方向に向かっているのかを判断できる。表面に突起物がないなだらかなスロープ形状のため、高齢者や幼児、肢体不自由者がつまずきにくい上、車いすやベビーカーなどの移動にも支障とならない。

 また、床材を切削・加工する必要がなく、短時間かつ低コストで敷設できるのも利点。カラーバリエーションもさまざまあり、弱視者の視認性を確保しながら施設内の空間イメージを損なわないデザインにすることも可能だ。

 ハートフルセンター1階に導入した寒河江市は、入り口から受付までの約30メートル区間に黄、緑、ピンクの3色の組み合わせで配置した。メーカーによると複数色の組み合わせは全国的でも例がない試みだといい、同市の担当課は「施設を利用する一般の人や子どもにも興味、関心を持ってもらえるよう視覚障害者団体と相談しながら配色を考えた」と話す。

 県内では、県議会議事堂や山形空港、山形盲学校、山形市総合福祉センターの一部に既に導入されており、今後も県庁などへ敷設される予定だ。ただ、導入する自治体はまだまだ少なく、視覚障害者が訪れる公共施設はもとより、病院、金融機関、商業施設などへの普及は遅々として進んでいない。

 ある視覚障害者は「駅やバス停から施設までの街の中には点字ブロックがあっても、建物に入った途端にブロックがなくなってしまい、進む方向が分からなくなってしまう施設が多い」と、取り巻く環境の厳しさを語る。最低限、窓口までたどりつければ、その先の案内を聞くこともできるだろうが、その窓口まで導く案内すらない状況は一刻も早く解消しなければなるまい。

 一方、宮城県石巻市は、福祉関係の部署が集まる市庁舎2階のエレベーター前から各課までのフロア全面に誘導マットを設置。さらにトイレや駐車スペースまでの不足部分についても本年度中に延長して敷設するという取り組みを進めている。ユニバーサルデザインに対する意識の高まりに伴い、視覚障害者団体などから誘導マットの設置を求める要望も増えてきており、メーカーによると全国で年約100カ所ずつのペースで導入が図られているという。

 視覚障害者のみならず、高齢者や初めて施設を訪れた人の道しるべとしても有効で、全ての人がメリットを感じられるのが魅力だ。2020年東京パラリンピックに向けバリアフリー化への関心が高まるこの機会に、県内でもぜひ誘導マットの導入を加速させていきたい。

(2018/09/24付)
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