社説

米沢市のブランド戦略始動 市民の意識が成否左右

 米沢市が進める「米沢ブランド戦略事業」が本格始動した。ブランド化というと、地域の特産品にシールを貼って付加価値をアピールする、というイメージを持ちがちだが、同市の事業は「米沢品質」の向上を目指す市民運動を大きな柱としているのが特徴だ。「鷹山公のDNA『挑戦と創造』の力で、次の米沢をつくる」というコンセプトの下、息の長い運動を通じて米沢全体の底上げにつながるような成果を期待したい。

 同事業は市が2016年度から取り組んでおり、市民によるワークショップを経て昨年11月にブランドコンセプトを決定。その後、広告大手・博報堂の協力も得て事業全体の枠組みづくりや「挑戦と創造のあかし 米沢品質」というブランドスローガンとロゴ、ブランドブックや動画といったPRツール作成などを進めてきた。

 事業は大きく分けて、品質向上を目指す市民運動である「TEAM(チーム) NEXT(ネクスト) YONEZAWA(ヨネザワ)(TNY)」と、その結果生み出されたモノやコトを顕彰する「米沢品質AWARD(アワード)」の2層からなる。TNYには賛同する市民、団体が登録でき、「米沢ブランド宣言イベント」が行われた今月2日から受け付けを開始した。来年度以降はTNY登録者が提供する商品やサービスの中から特に優れたものを毎年、審査の上選定し、AWARDとして顕彰していく。

 米沢牛や米沢鯉(ごい)、舘山りんご、地酒、米沢らーめん、米沢織、笹野一刀彫、有機EL、「上杉の城下町」の歴史資産や米沢八湯など、米沢が誇る特産品やサービスは山ほどある。ブランド戦略の検討過程では既に一定の評価を得ている産品を「レジェンド」として別格扱いする案もあったが、最終的には「挑戦と創造」を経て生み出されたモノやコトを全て審査した上で顕彰する方向に落ち着いた。これはつまり現状に満足することなく、常に米沢品質の向上を目指し続ける姿勢を重視しているからにほかならない。

 同市のブランド戦略が他自治体と決定的に違うのは、こうした市民主体の運動自体が事業の核になる、という点だ。言い換えれば、事業の成否を決めるのは市民の意識次第であり、まずは一人でも多くの市民や企業、団体にTNYへ登録してもらうことが最重要課題だ。

 出発式から2週間余りたったが、TNYへの登録申請はまだ数件だという。同市は既にホームページや新聞広告、ブランドブック、のぼり旗、ポスター、動画などを通じて広報に努める一方、番組制作なども計画しているが、より多くの市民にアピールするには、担当者が各種会合に積極的に顔を出し、事業の意義や参加を訴えていく必要があるだろう。やや観念的なブランドブックだけでなく、もう少し簡易で実用的なパンフレットなどを作るのも有効かもしれない。

 ブランド戦略を通じて市民が米沢の良さや価値を再認識し、若者の定着率が高まる。対外的なアピール力がアップして交流人口が増え、企業立地にもつながる―。こうした好循環を生むためには、数年単位ではなく息の長い取り組みが不可欠だ。その第一歩となる今が最も大事な時期であることは論をまたない。

(2018/11/19付)
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