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山形と映画館(下)-山形・シネマ通り 消えたスクリーン

2017年10月04日 13:40
9年前に映画館が消えた「シネマ通り」。映画の灯を再びともそうという動きが出てきている=山形市
9年前に映画館が消えた「シネマ通り」。映画の灯を再びともそうという動きが出てきている=山形市
 山形市七日町の山形銀行本店から東に延びる「シネマ通り」には、フィルムをモチーフにした銀色の大きなモニュメントが立っている。山形国際ドキュメンタリー映画祭が隔年で開かれる「映画の都」のシンボルとして1995年に設置されたものだ。しかし現在、シネマ通り、七日町には映画館はない。高校生たちに街中の映画館について尋ねると「七日町に映画館があったんですか」「シネマ通りって何ですか」との答えが返ってきた。このまま映画の灯は消えてしまうのか―。

 映画祭が開催されることになった理由の一つが市内の劇場の多さだった。山形に最初の映画館が誕生したのは1917(大正6)年。七日町4丁目で宮崎合名社が芝居小屋・旭座を改装し、上映を始めた(後のシネマ旭)。向かいで眼鏡店を営み、山形の歴史・文化に詳しい蜂屋孝司さん(77)に映画全盛期、61(昭和36)年の住宅地図を見せてもらうと、JR山形駅から七日町にかけての中心部に少なくても13軒が確認できた。

 その後、映画産業の斜陽化、娯楽の多様化などで映画館は徐々に減っていくが、映画祭が始まった89年でも市中心部には大小11の劇場(スクリーン)が点在していた。第1回は山形市中央公民館、フォーラムのほか、シネマプラザ(後のミューズ)、シネアート(後のシネマイータ)、山形スカラ座などが会場となった。

 2000年代に入り閉館が加速する。03年に山形宝塚と山形スカラ座が、04年にシネプラッサが幕を下ろした。中心街の映画文化を守ろうと業績不振に陥った宮崎合名社からムービーオンが事業を引き継いだものの06年にシネマイータが入居先の事情で閉館し、07年11月にシネマ旭も上演を休止。08年9月、シネマ通り最後の映画館ミューズも営業を終えた。映画のまちの象徴だったシネマ旭のビルも13年に取り壊された。

 スクリーンが消えて久しいシネマ通り。ここに映画文化を取り戻そうという動きが出てきている。15年末に通りの洋傘店を改装し「BOTA coffee(ボタコーヒー)」をオープンさせた佐藤英人さん(30)=山形市=は子どものころミューズによく通った。「シネマ通りから映画の文化がなくなっていくのが悲しかった」。2階のスペースをプライベートシアターなどに活用してもらおうと「BOTA theater(ボタシアター)」と名付け、貸し出し始めた。

 その思いに共鳴した母校の東北芸術工科大と映画祭事務局は昨年9月の山形ビエンナーレ期間中、ボタシアターで上映イベントを開いた。「1カ所に集まって同じものを見て、終わって話ができたりするのが映画のいいところ。映画はコミュニティーづくりの一つのきっかけになるはずだ」と佐藤さんは考える。

 昨年から今年にかけ、通りの「とんがりビル」と郁文堂書店でも上映イベントが催された。今回の映画祭では、とんがりビルが「ヤマガタ・ラフカット!」などの会場になる。シネマ通りにもう一度映画の灯を―。火種は少しずつ、大きくなっている。

(この連載は報道部・鈴木悟、大坪千絵が担当しました)

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