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【ここが見どころ】(1)インターナショナル・コンペ部門 ドキュメンタリー映画祭2017

2017年10月01日 14:14
 山形国際ドキュメンタリー映画祭2017が10月5~12日、山形市で開かれる。メインのインターナショナルコンペティション、アジアの新進作家を対象としたアジア千波万波の両部門にノミネートされた作品をはじめ、注目プログラムの企画意図など、今年の見どころを映画祭関係者が紹介する。

「エクス・リブリス―ニューヨーク公共図書館」の一場面
「エクス・リブリス―ニューヨーク公共図書館」の一場面
 【エクス・リブリス―ニューヨーク公共図書館】(フレデリック・ワイズマン監督)
 山形国際ドキュメンタリー映画祭にとってワイズマンは特別な存在だ。わが国ではまだそれほど知られていなかったこのドキュメンタリーの巨匠を、真っ先に紹介したのは山形だからだ。そのワイズマンの最新作「エクス・リブリス」が描くのはニューヨークの公立図書館で、市内各所に点在する図書館での著名な作家の講演会、本の貸し出し業務といったいかにも図書館らしい活動だけでなく、運営会議の議論から有力者を招いてのパーティーまで、図書館の「今」を余すところなく描き出す。ぜいたくこの上ない205分の至福の映画体験。

 【オラとニコデムの家】(アンナ・ザメツカ監督)
 「エクス・リブリス」と比べれば、こちらはむしろ世界の片隅の出来事にも見える。ポーランドに住む14歳の女の子オラ。自閉症の弟ニコデムの面倒を見ながら、仕事帰りのビールの誘惑に負けそうなお父さんの心配もしなければならない。弟は聖体拝領の試練を間近に控えている。それを機に、出ていったお母さんにもお父さんと仲直りさせられないかと願うオラは、みんなで過ごす時間をつくろうと奮闘するが…。けなげなオラと自由奔放なニコデム、そしてなかなか雰囲気のいいお父さんにぴったり寄り添い、暖かい視線で見守る家族の物語だ。

「オラとニコデムの家」の一場面
「オラとニコデムの家」の一場面
 【私はあなたのニグロではない】(ラウル・ペック監督)

 20世紀のアメリカにおけるアフリカ系アメリカ人の苦難の歴史を、小説家ジェームズ・ボールドウィンが残した草稿を導きの糸として紡ぎ出していく。公民権運動の闘争を伝える映像に、マルコムX、キング牧師の姿を伝える映像と、さらには時代に寄り添うような音楽の数々が、時代のうねりを伝える一方で、今日なお変わることなく続いている差別の現状へと目を向けさせる。何よりもボールドウィンのウイットに富む語り口の底から湧き上がる、怒りと悲しみに心を打たれる。

「私はあなたのニグロではない」の一場面
「私はあなたのニグロではない」の一場面
【カーキ色の記憶】(アルフォーズ・タンジュール監督)
 カーキ色は軍服の色、戦いの色、自由への戦いに対する抑圧の象徴でもある。内戦に苦しむ故郷シリアを離れ、ヨーロッパにおいて亡命生活を送る監督が、シリアへの愛ゆえにシリアを離れざるを得なくなった人々と対話する。対話の相手となる人々は、かつてアシスタントとしてついた映画監督であったり、年長の友人でもある文学者であったり、自身の叔母だったりと、それぞれに監督自身との関係を踏まえて語っている点が、単なるルポルタージュを超える私的で詩的な世界を見せてくれる。

【願いと揺らぎ】(我妻和樹監督)
 一人の若者が、宮城県南三陸の集落に伝わる伝統芸能を取材していた。人々の暮らしに溶け込み、住民からも身内のように扱われ、悩み迷いながら作品完成への道を探っていた。そこに東日本大震災が起きた。集落は津波に襲われる。不器用そのものの監督の体当たりの取材と人々とのやりとりを通して、震災という出来事に直面したごく普通のしかし魅力溢(あふ)れる人々の心のありようが描き出されていく。そのほとんど未完成とも言える荒削りな手触りは忘れがたい印象を残すだろう。
(山形国際ドキュメンタリー映画祭理事・阿部宏慈)

◆上映日程◆
▽「エクス・リブリス―ニューヨーク公共図書館」=6日午後4時45分(山形市中央公民館)8日午後4時半(山形市民会館)
▽「オラとニコデムの家」=7日午後6時45分(中央公民館)10日午後1時15分(市民会館)
▽「私はあなたのニグロではない」=6日午前10時半(市民会館)10日午後4時5分(市中央公民館)
▽「カーキ色の記憶」=9日午前10時半(市民会館)10日午前10時(市中央公民館)
▽「願いと揺らぎ」=6日午後5時半(市民会館)9日午前10時(市中央公民館)

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