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難病のALS押し随筆集刊行 山形の鏡さん、故郷への思い丹念に

2010年07月30日 18:28
古里の農業、農村への思いなどをつづった随筆集「おおやま桜」
古里の農業、農村への思いなどをつづった随筆集「おおやま桜」
 全身の筋肉がまひする難病・筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)で闘病生活を続ける元県土地改良事業団体連合会専務理事の鏡一男さん(64)=山形市中桜田=が、古里の農業や農村への思いを書きつづった随筆集「おおやま桜」を刊行した。わずかに動く右手の指先で障害者用パソコンのカーソルを操作し、「生きる証し」としてあふれ出る思いを一文字一文字に込め、丹念につづった。

 鏡さんは宇都宮大農学部を卒業後、技術吏員として県庁に入庁し、農村計画課長、村山総合支庁産業経済部農林技監などを歴任した。退職後は県職員時代の経験、人脈を生かし、2008年3月までの3年間、県土地改良事業団体連合会専務理事を務めた。

 鏡さんが症状を覚えたのは05年冬。軽いしびれが初めは左手に、次第に左足にも現れるようになり、病院で受診した。ALSと診断されたのは、翌06年夏。投薬治療を受け仕事をこなしていたが、病状は進行。08年1月には歩くことが困難になり、車いすを多用するようになった。

 「病床にあるとこれまでの自分のことや、いろんな方々とのやりとりが走馬灯のように頭を駆け巡り、できる限り記録として残してみたいという気持ちになった」と鏡さん。09年4月から書きつづってきた文章と、病床の自分を励まし続けてくれた友人、知人とのメールのやりとりを一冊にまとめた。

 記憶力や思考力は病に倒れる以前と何ら変わりはない。だが病の進行で手足の自由が利かず、声も奪われた。現在は生活全般にわたって介助を受けながら、眼球とわずかに動く唇で自らの意思を伝えている。

 随筆集のタイトルの「おおやま桜」は、鏡さんの古里への思いそのものだ。「自宅がある中桜田地区は昔からオオヤマザクラを増やし、シンボルにしてきた。古里は何かシンボルがあると、皆が1つにまとまる」と鏡さん。鏡さんにとって、オオヤマザクラが咲く農村は、美しき古里の象徴だ。

 随筆集では、自らの闘病生活なども紹介。また、第2章で「山形の食と農」と題し、農業への期待や食事情、山形名物への思いなどをつづった。本県の農業は食料生産のほかに県土保全の役割を担い、農村は豊かさを感じさせ美しい風景を見せてくれるとし、「山形の農村の良さをみんなが知り、大切にしていってほしい」とエールを送っている。A5判で374ページ。問い合わせは県土地改良事業団体連合会の細矢さん023(647)5385。
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