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本県とゆかり深いザイラー氏が死去 蔵王スキー場の国際化に貢献

2009年08月25日 21:38
松竹映画「銀嶺の王者」のロケで蔵王を訪れたトニー・ザイラー氏(右)。左は共演した鰐淵晴子=1960年3月11日
松竹映画「銀嶺の王者」のロケで蔵王を訪れたトニー・ザイラー氏(右)。左は共演した鰐淵晴子=1960年3月11日
 【ウィーン共同】イタリアのコルティナダンペッツォで開催された1956年冬季五輪で、初のアルペンスキー3冠王となったオーストリアの往年の名選手、トニー・ザイラー氏が24日、インスブルック市内で死去した。73歳だった。地元キッツビューエルのスキークラブが25日に「長い間、闘病生活を続けてきたザイラー氏が亡くなった」と発表した。

 ザイラー氏はアルペンスキーが滑降、大回転、回転で実施されていた56年五輪で、3種目とも圧倒的な強さで金メダルを獲得し、初の3冠王となった。この大会の回転で、日本の冬季五輪史上初メダルとなる銀メダルを獲得したのが国際オリンピック委員会(IOC)副会長の猪谷千春氏だった。68年グルノーブル冬季五輪では、地元フランスのジャンクロード・キリー氏が2人目の3冠王となった。

 引退後はアルプスの村を舞台に、スキーの名手の主役ザイラー氏が大活躍する映画「黒い稲妻」「白銀は招くよ!」などにも出演。黒髪に黒い目の同氏は日本にも多くのファンをつくった。

 母国オーストリアのスキー界の発展にも大きく貢献。85年にはIOCから五輪オーダー(功労章)が贈られた。


 トニー・ザイラー氏は、1960(昭和35)年以降、数回にわたって本県を訪れた。映画「銀嶺の王者」(松竹)のロケなどで山形市の蔵王温泉スキー場を滑降。蔵王の国際化に貢献し、本県関係者とも親交を深めた。

 初来県は、五輪アルペン競技での3冠獲得から4年後の60年1月。「銀嶺の王者」のロケで蔵王に1カ月ほど滞在した。地蔵岳や熊野岳、ザンゲ坂などを滑ってスキーや蔵王の魅力を広めたほか、三船敏郎さん、李香蘭さん、鰐淵晴子さんらの豪華キャストとの共演も注目を集めた。当時、「本当に樹氷はいい。欧州でもPRしたい」と話していた。

 このロケがきっかけで山形市は63年、ザイラー氏の出身地キッツビューエル市と初の姉妹都市の盟約を締結。74年には、キッツビューエル市訪問団の一員としてザイラー氏が山形市を訪れ、山形市名誉市民章が贈られた。市川昭男山形市長は「銀嶺の王者は蔵王が日本を代表するスキー場として認知されるきっかけとなった。蔵王スキー場の恩人ともいうべき方。謹んでご冥福をお祈り申し上げます」とコメントした。

 79年には、蔵王で世界のスキー指導者らが集う第11回インタースキー日本大会が開かれ、ザイラー氏が来県。オーストリアチームのデモンストレーションなどを披露し、「蔵王にはたくさんの友人がいる」と語った。

 「友人」の一人で、蔵王ハイムスキースクール創設者の岸英三さん(87)=金山町金山=は「現役引退後は子どもたちの指導に熱心だった。『強くなるのに大切なことは3つあり、スキーが好きなこと、体が丈夫であること、勝とうと思う気持ちがあることだ』と話し、やる気を引き出す指導を重視していた」と振り返る。ロッジで毎日のように日本食を頼んだザイラー氏の在りし日を思い浮かべながら、「スキーに対して真摯(しんし)だった。今も大事な友人だと思っている。とても残念だ」と肩を落とした。

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