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がんを抱え美容師として生きる 遊佐の佐藤さんが単行本を出版

2009年07月03日 15:53
客の髪をセットする佐藤由美さん(右)=遊佐町直世、 Hair Make「DEAR」
客の髪をセットする佐藤由美さん(右)=遊佐町直世、 Hair Make「DEAR」
 4つのがんを抱えながら、美容師として働き続けている佐藤由美さん(47)=遊佐町直世=が、単行本「余命ゼロを生きる−現役美容師、奇跡の物語」(WAVE出版)を出版した。自らの半生や闘病中の葛藤(かっとう)、明日をも知れぬ命と向き合いながらも前向きに働き続けることの意味などをつづった。佐藤さんは「この本が、病気に限らず、仕事などさまざまなことで苦しんでいる人たちの力になれば」と話している。

 佐藤さんは1962(昭和37)年、遊佐町生まれ。地元の高校を卒業後、東京や米国・ニューヨークで美容師として働いた後、家族の看病のために帰郷。2002年10月に美容室「Hair Make『DEAR』」をオープンさせた。

 その2年後、42歳で顔のがん「腺様(せんよう)のう胞がん」が見つかった。摘出手術を受けたものの、44歳の時に首の骨と肺に、さらに46歳で眼底に転移。治療法はなく、現在は山形市の山形大医学部付属病院と酒田市の日本海総合病院に通い、緩和ケアを受けながら美容師として働いている。

単行本「余命ゼロを生きる―現役美容師、奇跡の物語」
単行本「余命ゼロを生きる―現役美容師、奇跡の物語」
 単行本を書くことになったきっかけは、WAVE出版の玉越直人社長が今年2月28日に佐藤さんの元を訪れ、出版を依頼したこと。玉越社長が都内の行きつけの美容室で、佐藤さんの話を聞いたという。初めは手記を出版することに抵抗を感じたというが「自分の体験が誰かのためになるのなら」と引き受けた。

 同書は▽42歳、独身の私は、ひとりで告知を受けた▽あこがれのニューヨークで、新しい私になる▽念願の自分の城、そして突然の入院▽顔のガンとの闘い▽美容師をつづけながら、4つのガンと生きる−の5章で構成。

 がんの告知を受け、苦しい闘病生活を送っていたころの心の内を「『なぜ私が…』『この世に神はいるのか!』『もし神がいるならば不平等だ』という思いを振り払うことはできなかった」とつづる。しかし、長い時間を経る中で「ガンになったことを誰のせいにもできないし、誰を責めることもできない。(中略)恐怖心を抱かず、いま自分にできる限りのことをつづけていくことが大切なのだと思う」と考えるようになった心境の変化にも触れている。

 そして、最終章では「明日の私のからだと命は、確かにわからない。病気の状態からみた余命は…、ゼロなのかもしれない。けれど、命のある限り『努力に勝るものなし』の精神で、大好きな仕事と生きていたい」と結んでいる。

 佐藤さんは「人につらく悲しい思いをさせるくらいなら、自分自身がつらい方がまだ楽だ。どんなにつらい状況でも、考え方と努力次第で楽しくなる」と語る。佐藤さんの美容室には現在、多い時で1日に7、8人の予約客が訪れるが、体調の面から新規の客は受け付けていない。

 四六判、176ページ。1400円(税別)。全国の書店で取り扱っている。問い合わせはWAVE出版03(3261)3713。

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