わいわい子育て![]() 本紙担当記者4人、11年の取材現場から… 家族の在り方問い直す今年も残りわずか。3月11日の東日本大震災以降は、県内でも放射能への不安や避難者の受け入れなどが続き、小さな子どもを抱える親にとって特に目まぐるしい一年となったのではないだろうか。震災後、独身男女の結婚願望が強まるなど、「家族」のありようをあらためて考えたという人も多いだろう。くらし欄を担当する4人の記者が、ことし印象に残った取材現場を振り返る。 【婚活「本音座談会」】恋や結婚への道のりは遠い?
婚活座談会に参加してくれた男性3人。人生の伴侶を求めて婚活に励んでいた=7月、山形市
「恋はするものじゃなくて、落ちるものだ」とは江國香織さんの恋愛小説のせりふだが、現実には、恋やその先の結婚に至る道のりははるか遠いことのような気がしてしまった。県内の婚活事情を探ろうと企画した男女別「本音座談会」を取材し終えての感想だ。ライフスタイルの異なる独身の30代女性5人、20〜50代の男性3人にざっくばらんに語り合ってもらい、その模様を紙面で紹介した。 女性陣に共通していたのは、結婚に求めるものや将来像についてしっかりと自分の意見を持っていること。理想の男性については「尊敬できる人」「優しい振る舞いが自然にできる人」と内面を重視する声が多かった。一方の男性陣は「たばこを吸う女性は嫌」「フェミニンな服装が好み」とどちらかといえば表面的な発想で、アラサー独身女の記者としては物足りなさを感じたのが率直なところ。 男女間のこの溝を埋める妙薬は「恋は盲目」状態に落ちることぐらいか。だがしっかり者の彼女たちが盲目になることなどもはやないのでは、と思ったりもして、男性参加者の「婚活は宝探しみたいに難しい」なる名言(迷言?)が心に残った。 (高) 【避難中の福島ママ】苦悩する姿、問題の根深さ実感
避難生活の葛藤や不安を吐露しつつ、サークル設立に向け準備するママたち=9月、山形市
福島第1原発事故の後、放射線への不安から多くの母子が本県に避難した。夫は福島県内で仕事を続け、母子だけで避難生活を送る家族も多い。9月、福島の母親がサークル設立に向けて集まった際の座談会では、避難後も不安や葛藤に苦しみ続ける心情が痛いほど伝わってきた。 幼い子どもへの放射能の影響が心配で避難してきた母たち。放射能の不安から解放されたことを語る表情は晴れやかだった。だが「山形には知り合いがいなくて。ここに来て安心した」と涙ぐむ姿も。「山形に来てよかった、と思わなければ」と、自分を奮い立たせるかのように話す母もいて、身近に頼る人がいない避難生活に、不安、負担を抱える様子が見え隠れした。 一方、避難に対する考え方は一様ではない。同じように幼い子を抱えながら、福島県内に残る人もいるし、夫婦間で考え方が違うこともある。「地元に戻った時は放射線のことを話題にしない」「主人は帰ってきてもいいんじゃないか、って。このまま山形にいていいのか毎日悩んでいる」という母親たちの言葉に、見えない放射能をめぐる問題の根深さを突き付けられた気がした。 (大) 【発達障害児向け音楽教室】未来への一歩見守り寄り添う発達障害がある子どもたちが音楽を通して社会性を身に付ける教室を、山形市で取材した。取材のルールは「子どもたちが慣れるまではあまり動かない」。カメラを抱えた知らない人がうろうろしたら驚くからだ。感覚がより繊細な子どもたちは、いつもと異なる状況に混乱し、パニックを起こすことがある。 社会で生きる上で、毎日が計画通りとはいかない。例えば事故や災害が起こった場合。障害がある人たちは、早口にしゃべる周囲の人たちの言葉が理解できなくても、音に敏感になることで状況を知る手掛かりになるという。音楽教室には、こういった能力を育てる目的もある。教室ではそれぞれのスタイルで音と親しむ。講師は指示するものの無理強いはせず、マンツーマンで寄り添う。 子に障害があることに戸惑う親は多いと思う。親の気持ちを理解できるとはいえないが、こうした教室で親同士のつながりができ、子どもが未来へと歩いていく一歩を実感できるのではないだろうか。最初は戸惑っていた子どもたちが別れ際に記者にハイタッチしてくれた。触れ合うコミュニケーションがうれしく「音楽の効果かも」と思わず頬が緩んだ。 (江) 【先輩ママの家庭訪問】活動に「父親の役割」を見る1児の父親として、取材を通じて考えさせられる場面が多かった。「先輩ママの家庭訪問支援モデル事業」は特に印象深い。専門的な研修を受けた先輩ママが子育て家庭をボランティアで訪問する事業で、今年8月から県内で活動が始まった。 事業の狙いは先輩ママの子育て経験を生かし、子どもの数が多かったり、転居したばかりで自宅にこもりがちな母親を支えること。だが、先輩ママの養成講座では「寄り添うことが大切」「悩みは一緒に考えるスタンスを取って」など、父親としても役に立つアドバイスがたくさんあった。 活動スタート後は利用家庭にもお邪魔した。2児を育てる母親は自身の歯科医院通院もままならず「本当に助かっている」と何度も感謝の言葉を口にする。活動は基本的に週1回、2時間程度。初めはどれだけ効果があるのか半信半疑な面もあったが、自由奔放な子どもと一緒の時間が長い母親たちにとって、その時間がどれほど貴重なものかを実感させられた。 先輩ママの活動は「父親の役割」にも通じる。「週1回、2時間程度」。仕事を持つ父親たちが休日にいつもより早く目覚めるだけでも、その時間はつくれるだろう。自戒の念を込めてそう思った。 (近) 2011年12月27日掲載
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