農家グループの挑戦・米沢 米粉めん提供、「根付かせたい」
「米粉めんのからしあえ」を盛り付ける給食当番の児童。つるつるした食感が子どもたちに人気だ=米沢市・北部小
[ 動画はコチラ]この日の献立はご飯、けんちん汁、イワシの梅しょうゆ煮にもう一品。「米粉めんのからしあえ」。さっとお湯に通し、適度に冷やした米粉めんにキュウリ、キャベツ、ハムなどを加え、からしあえにした副菜で、地元生産者が手掛けた食材を生かしたメニューだ。 「給食当番ごくろーさまでした」「では、いただきます」。2年3組の教室から25人の元気な声が廊下まで響き渡った。「キュウリやハムが入った、そのめんは何でできているか分かる?」と聞くと、きょとんとした表情を浮かべる児童がいる一方、「米粉!」と元気良く答える子どもも複数いた。同校栄養士の小関美穂さん(36)は「つるつるした食感で、子どもたちの人気メニューの1つ。ちょうど春雨みたいな感じかな」と教えてくれた。 米沢市内の全18小学校で提供される給食は、学校栄養士がまとめた原案を基に毎月、おおむね2、3カ月先の献立が決められる。旬の食材を生かした料理や行事食のほか、虫歯予防週間に当たる6月は豆や小魚など歯応えのある食材を使ったメニューを多く取り入れるなどしている。 同市では各校それぞれに調理室を置く自校給食を行っている。同市学校教育課は「調理したものをすぐに食べさせたい。それに作っている過程を子どもたちに学んでもらうことも大切」と説明する。1食当たりの価格は260円で、他市町村に比べてやや高いとした上で「調理機能を1カ所に集約し、食材を大量購入したりすれば低コスト化も図れるだろうが、自校給食は大切に守っていきたい」と付け加えた。
米粉めんの特徴などを説明する「田んぼ花の里 李山」代表の後藤仁さん=米沢市李山
14戸が寄り添うように生活を営む小集落で営農に励んできた後藤さんだが「自分たちの地域を守っていくには農家それぞれがばらばらに経営していては将来、立ちゆかなくなる」と考え、近くの農家ら19人で昨年1月、生産者グループ「田んぼ花の里 李山」を組織し代表に就いた。グループ全体で約20ヘクタールを管理し、水稲6ヘクタール、啓翁桜をメーンにする切り花栽培8ヘクタール、ほかに大豆、飼料作物などを手掛ける。 米粉食品に着目したのは、組織設立後すぐ、市のアドバイスを受けたことがきっかけだった。試しに自家用のコメ60キロを真室川町の農事組合法人に依頼し、米粉めんを製造。「地産地消の観点から学校給食にいいのではないか」と考えた後藤さんは地元南原小に持ち込み、試食してもらうと好評で、それが縁で現在は市内共通の給食メニューとして月に1回程度、子どもたちの口に入るようになっている。 「食物アレルギーの心配がなく、調理時間も短い」などメリットを上げる後藤さんだが、小麦粉食品に比べて割高な価格の話になると表情を曇らせた。北部小で「米粉めんのからしあえ」が提供された際の学校側の仕入れ値は、米粉1キロで850円。最近仕入れた小麦粉のパスタは1キロ410円の計算となり、価格差は歴然としている。 後藤さんは「採算を取る上で現状の価格はぎりぎりのライン」と説明する。国の新たな食料自給率向上事業に米粉用米を作付けした場合、10アール当たり8万円の交付金が支給されるが「現状では、米粉を作って8万円もらったとしても、普通にコメを育ててJAに出荷した方が所得がいいんじゃないか」と指摘する。2010年産米で米粉用としての作付けは予定せず、保存してある09年産の米粉用米を注文に応じて商品化する計画を立てている。 インターネットを活用し、都内の消費者に米粉めんなどを販売しているが「地元で消費が伸びなければ、商品としてうまく根付かないと思う」と後藤さんは言う。学校給食への取り組みについて「生産者の顔を子どもたちに知ってもらえる良い機会。自分たちの使命は安全なものを作ること」と自らに言い聞かせるようにうなずいた。 (「食と農を問う」取材班)
(2010年06月27日 掲載)
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