周年栽培でニーズに応える
「アルストロメリアを鶴岡の代表的な花にして全国に知られる産地にしたい」と語る上野善光さん(右)=鶴岡市
[ 動画はコチラ]首都圏の市場で年々、評価を高めている鶴岡産の花き。JA鶴岡花き振興部会アルストロメリア専門部長を務める上野さんは、鉄骨の大型ハウスを含め10棟のハウスで、両親と妻の家族と共に栽培を行っている。父親の跡を継ぎ、花き栽培農家になって12年。「いつも土に触れ、農業をしていられることが1番いい」。数ある花の中でアルストロメリアを選んだのは周年栽培ができるからだ。 花の色や形、丈などの違いで約200種類の品種があるアルストロメリア。毎年のように新しい品種が登場し、人気品種として残るものもあれば、あっという間に消えていくものもある。株を4年の期間限定で業者から借り受けて栽培するため、次々に品種を選び替えて栽培していかなければならず、栽培もさることながら、品種選びが売り上げの“生命線”になるという。「もっと簡単な花もある。アルストロメリアは手間も金も掛かるが、周年栽培の魅力が勝る」と本音を漏らす。 春先が最も栽培に神経を使う時期。晴れればハウスの気温が上がらないように外気を入れ、雪が降ったり、気温が下がれば暖房を入れ、常に12〜20度に保つ。ハウス内の地温も一定にするため地中にパイプを埋め、地下水を流し続けている。
アルストロメリアをはじめ多彩な花々が運び込まれるJA鶴岡の花き集出荷施設=鶴岡市
毎年「これぞ」と選んだ新しい株を追加し、4月に定植する。その傍らで毎日のように朝5時半から約3時間かけ、年間を通じて次々に開花期を迎える品種を家族4人が交代で収穫。上野さんの指示を受けたアルバイトの山形大農学部の学生2人が作業小屋に運び込まれたアルストロメリアの長さや花芽の数などをそろえる。水の入った出荷専用バケツに入れ、翌朝には出荷される。 同市覚岸寺にあるJA鶴岡の花き集出荷施設。その周りを囲むように、花々をいっぱいに載せた軽トラックやワゴン車などが列をつくり、入り口のシャッターが開くのを待っている。 午前8時半。シャッターが開くのと同時に、生産者がアルストロメリアをはじめとする花々を運び込む。規格や品質などを細かくチェックするのは自ら生産者でもある同JA花き振興部会の役員たちだ。部会長の佐藤司さん(47)=同市中野京田=はその様子を頼もしそうに見守る。 振興部会は昨年度、発足20周年を迎えた。産地としてスタートが早かったわけではないが、東京の大手市場で単独JAとしては全国2位の売上高を誇るまでになっている。「原動力は、みんなが鶴岡を一大産地にしようと結束し、高い品質で安定供給しようと気持ちを1つにしてきたから。でも、目標はまだまだ上にある」と佐藤さんは目を細める。 振興部会のもう1つの特徴が若さだ。比較的若い生産者が多く、役員の平均年齢は38歳。生産者による集荷物の統一規格検査や、専用バケツでの出荷態勢など、全国に先駆けた取り組みにも挑戦してきた。栽培と同様に力を入れているのが市場評価の把握。毎年、大勢の部会メンバーが市場に足を運び、自分の花が取引される状況を視察して市場や消費ニーズを肌で感じている。 「人から聞いた話より、自分で確かめた感覚で生産について議論することが大事なんだと思う」と佐藤さん。「品質と量が信頼を生み、売り上げにつながる。それが生産者の励みになり、また良いものを作る意欲が生まれる。このサイクルをより大きなものにし、鶴岡ブランドをもっと全国の消費者に浸透させていきたい」。自分たちの歩んできた道のりを確認し、次の目標を見据えるように語った。(「食と農を問う」取材班) 【JA鶴岡花き振興部会】 生産者21人で1989年に発足。園芸作物で全国ブランドのメロン、だだちゃ豆と並ぶ品目に育てることを目標に組織的な集出荷態勢を築き、周年出荷ができる産地として評価を高めてきた。現在は主力品目のアルストロメリアやトルコギキョウなどの専門部を設け、122人(2008年度)の部会員で栽培、出荷活動を展開。発足時の年間販売高は600万円程度だったが、94年に1億円を超え、99年に5億円を突破してからは5億円台で推移している。
(2010年04月04日 掲載)
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