東日本大震災

刻む3・11~震災4年「あの時」の県内(4) 県危機管理担当―相互協定で支援要請相次ぐ

2015年03月08日
震災発生後の対策会議に臨む県危機管理監(当時)の佐藤和志さん(左から3番目)と危機管理課長(当時)の飯野正博さん(右手前)。県の方針を決める上で大きな役割を担った=2011年3月14日、県庁
震災発生後の対策会議に臨む県危機管理監(当時)の佐藤和志さん(左から3番目)と危機管理課長(当時)の飯野正博さん(右手前)。県の方針を決める上で大きな役割を担った=2011年3月14日、県庁
3月11日午後2時40分、県議会の予算特別委員会が終了した。東日本大震災の発生6分前だ。当時、県危機管理監を務めていた佐藤和志さん(63)=山形市=は、議事堂から県庁舎7階の自室に向かった。停電で閉じ込められることを避けるため、日ごろからエレベーターに乗らないことにしていた。しかし、あの日は違った。「無意識に乗り込んでいた。疲れがたまっていた」。扉が開き、エレベーターを降りた直後、庁内に緊急地震警報が鳴り響いた。庁舎は大きな横揺れに襲われた。

 3階の危機管理室にいた危機管理課長(当時)の飯野正博さん(63)=同=は机の下にもぐり、県内の被害、今後の対応、それに家族の安否に思いを巡らせた。「不気味なほど長い揺れだった」。

 この2人を中心に県の災害対応が動き出した。午後3時半、副知事をトップにした災害対策連絡会議の初会合を開催。午後5時半に2回目、午後8時に3回目。「山形市4カ所で断水」「ガス異常なし」と、手書きの資料などが配られ、各地の情報が集まってきた。大規模停電を除き、県内被害は甚大ではないことが明らかになった。一方、北海道・東北8道県相互応援協定に基づく応援要請が次々と寄せられた。被災地支援という本県の立ち位置は初日の段階で形成されつつあった。

 飯野さんはこの年に新設された初代の危機管理課長。秘書課、管財課などが長く危機管理は専門分野でなかったが、旧総合防災課にいた2年間の中で新潟県中越地震(2004年10月)を経験した。8道県相互応援協定が初めて本格運用された時だ。「支援の流れは記憶にあった」

機動力生かす
 12日夜までに県内停電が全面復旧。13日午後5時半、災害対策連絡会議は知事がトップの災害対策本部に格上げされ、広域支援対策本部の設置を決めた。県総合運動公園に救援物資を集積し、陸路、空路で現地に輸送された。被災自治体からは「物資は間に合っている」との声もあったが、報道では足りないと伝えていた。「物資の在庫を公開してNPOやボランティアの機動力を生かした。前例のない取り組みだった」。飯野さんは振り返る。

「教訓見直し」
 被災地支援はスムーズに進んだが、原発事故に伴う避難者の受け入れで、県は矢面に立たされた。佐藤さんは「市町村は避難者支援の訓練を重ねているが、県に直接的な支援のノウハウはなかった」と出足の遅さを認める。県から的確な指示が出ず、業を煮やした置賜地方の首長が知事室に乗り込む場面もあった。

 その後も放射性物質に関する大気や水道水のモニタリング、農畜産物の検査など前例のない事態が続いた。危機管理を担った2人は5月の連休まで毎日登庁した。ほとんどが深夜帰りだったが、「現場が見えづらい県庁職員にとって、直接的に県民や避難者を手助けできたことはうれしかった」と口をそろえる。

 4年が経過した。「山形は災害が少ない。そんな根拠のない安心感が再び県民の中に広がりつつある」と、佐藤さんは危機感を募らせる。そして、飯野さんは言う。「あの時、本県が経験したのは主に避難対応や被災地支援だった。震災の教訓を見直し、災害に備え、防災力強化に向けた対策を講じる必要がある」
(3・11取材班)
東日本大震災 記事一覧
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] 
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から