東日本大震災

震災1年-やまがたの避難者[4] 住居・地域社会

2012年03月14日
集会所で子どもたちの勉強を見る武田徹さん(左)。自治会活動を通じ、交流が深まっている=米沢市・雇用促進住宅万世宿舎
集会所で子どもたちの勉強を見る武田徹さん(左)。自治会活動を通じ、交流が深まっている=米沢市・雇用促進住宅万世宿舎
 「あと1年で終わりなのか…」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で本県に避難している人たちは、仮住まいの入居期限に不安を抱いている。二重生活や失業で家計は厳しく、住まいを失えば子どもの学校問題、職探しにも影響する。自治会など避難者同士のコミュニティーが形成された所もあり、再び「つながり」を失うことにもなる。制度のはざまで、避難者が悩み続けている。

 米沢市の雇用促進住宅万世宿舎。自治会長の武田徹さん(71)=福島市=がつぶやいた。「ようやく自治会ができたのにな」

 本県では「避難所」として提供されている雇用促進住宅。入居期限は最長で2013年3月までとなっているが、期限後について国は明確な対応を示していない。家賃負担が必要になるのか、退去を求められるのか、国の判断によっては生活が立ちゆかなくなる可能性がある。

 万世宿者に自治会が発足したのは昨年11月末。家族親族を除けば、入居者同士の縁はなかった。暮らしの中で階段掃除や除雪作業などの自治会の活動を通じ、少しずつ支え合う関係が深まってきた。

 武田さんと妻節子さん(69)は2月から、宿舎の集会所を使って子どもたちの遊び、学びを世話している。母親たちも集い、子育てや生活について情報交換している。万世小3年上野智生君(8)=福島県南相馬市=は「宿題が早く終わるし、友だちとも遊べる。楽しい居場所」と笑う。

 入居期限は、コミュニティーに終止符を打つことにもなる。武田さんはため息をつく。「私たちはまたつながりをなくしてしまうのか」

 山形新聞社のアンケートでは、今後の生活拠点について78%が「当面は山形」と回答。期間としては「住宅支援の期限まで」という声が多い。その後の生活については「子どもの卒業まで住みたいが住居がどうなるか分からない」(福島市、30代女性)「退去しても臨時職では長く暮らせない」(南相馬市、10代男性)と、展望を見いだせない状況がうかがえる。

 原発事故で南相馬市の警戒区域から夫と9歳、6歳の娘と一緒に天童市に避難している女性(34)は、「人と話せないことがこんなにつらいなんて…」ともらす。周囲に知人はほとんどおらず、ほかの避難者との接点もわずかしかない。

 週に1、2回は避難者支援サロンに足を運ぶが、集まるのは数人。「賠償の有無などナイーブな問題もあるが、同じ福島の人じゃないと分かり合えないことがある。もっと多くの人と話したい」と女性は願う。すぐ近くに友人、知人がいる「社会」。当たり前だったことの大切さを、失った今、実感している。(「やまがたの避難者」取材班)

◆東日本大震災に伴う住宅支援の期限 雇用促進住宅の提供は厚生労働省の要請で実施。本県では避難所として扱い、家賃、敷金を無償で避難者らに提供している。入居期限は最長で2013年3月末まで。一方、県の避難者向け借り上げ住宅制度では、民間賃貸住宅を仮設住宅と見なして提供。6万円までの家賃、敷金などを県が負担し、避難元の県に求償する。現時点で入居期限は最長2年。
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