東日本大震災

JICAの経験生かし自立サポート 尾花沢出身・菅野芳春さん

2011年12月19日
「弁当と一緒に笑顔を届けたい」と話す菅野芳春さん(右)=宮城県石巻市
「弁当と一緒に笑顔を届けたい」と話す菅野芳春さん(右)=宮城県石巻市
 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市渡波(わたのは)地区に、尾花沢市出身の菅野芳春さん(47)が移住し、地道な復興支援に取り組んでいる。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてアフリカ・ガーナで活動した経験を生かし、被災者の自立をサポート。現在は地元の女性らによる宅配弁当店「ワタママ食堂」の運営を全面的にバックアップしている。

 菅野さんは山形大工学部を卒業後、静岡県の精密機器製造会社に就職。39歳の時、青年海外協力隊員(理数科教師)としてガーナに渡った。2年3カ月の任期を終え帰国後、ガーナの雇用創出に貢献しようと、サトウキビ栽培を学ぶため去年1月、沖縄県に移り住んだが、今年3月11日の大震災発生を受け、協力隊経験者に呼び掛け「支援の会」を設立。被害の大きかった石巻市に移住した。

 10月まで渡波小学校の避難所を拠点に活動。早くから当番制を提案し、被災者自身に掃除、炊事、物資運搬など役割を担ってもらった。「支援者が全てやってしまうと受け身になり、自立心が失われてしまうことをガーナで学んだ。被災地は大変な状況だったが、自分たちのことは自分たちでという意識を持ってもらえるよう努力した」

 炊き出しは最大で1日1800食を提供した。途中から有償ボランティアの仕組みを取り入れ、地元の雇用を生み出しながら復興支援に当たったが、10月11日に避難所が閉鎖され、女性たちは「失業」。雇用を継続するとともに、仮設住宅などで暮らすお年寄りの食をサポートしようと、11月21日にワタママ食堂をオープンさせた。

 店舗は被災したラーメン店を活用。日替わり弁当は350円と割安で、総菜も扱う。ワタママ食堂代表の阿部恵久代さん(53)は自宅が全壊、津波で父を失った。「村山市で父の火葬をしていただくなど山形の人には大変お世話になった。経営を軌道に乗せて自立できるようにしたい」

 菅野さんは石巻専修大の敷地にテントを張って生活していたが、台風で破損したため、8月からは被災住宅を無償で借りている。電気、ガス、水道いずれも使用できないが、「ガーナでは当たり前の暮らし」。

 目標は「弁当と一緒に笑顔を届け地域全体を元気にすること」。「自立できるまでサポートするのが自分の主義。復興の芽が出て終わりではなく、大地に根っこが生えるまでしっかり支えたい」と話していた。
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