東日本大震災

被災船の勇姿再び、復興信じ修復作業 加茂水産高出・五十嵐さん

2011年05月10日
豊かな海の復活を願い、作業に打ち込む五十嵐政紘さん(右)=9日、宮城県塩釜市・東北ドック鉄工
豊かな海の復活を願い、作業に打ち込む五十嵐政紘さん(右)=9日、宮城県塩釜市・東北ドック鉄工
 東日本大震災で大津波に襲われた太平洋沿岸部。宮城県でも多くの船が波にのまれ、深刻な打撃を受けた。塩釜市の東北ドック鉄工では連日、被災した漁船などの修復作業が続く。世界に誇る豊かな海の復活を願いながら、加茂水産高(鶴岡市)出身の船渠長(せんきょちょう)=ドックマスター=の五十嵐政紘さん(66)が奮闘している。(仙台支社・松田直樹)

 塩釜湾に位置する東北ドック鉄工は1987(昭和62)年に設立された。船舶の建造・修繕・検査のほか売買、仲介などの事業を手掛けている。ドックマスターは、さまざまな船舶を操縦しドックに出し入れしたり、ドック内で船を支える盤木の配置を決めるなど重要な業務だ。

 3月11日の震災当時、ドックには、第八十三惣宝丸が入っていた。約300トンの巻網船を収容できる巨大な空間だが、第1波はゲートを軽々と乗り越え、一気に海水で満たした。惣宝丸は、引き波でドックから引きずり出されてしまう。「作業員が機転を利かせてアンカーを打ったので、かろうじて湾内にとどまった」。五十嵐さんは振り返る。

 敷地内は津波で埋まり、建物1階にあった機械類は使用不能に。電気が復旧しないため、ドックはしばらく排水作業もままならなかった。「20日ぐらいでようやく排水ポンプを動かせた。海水を取り除いた後はドックにたまった泥の掃除。2週間かけてようやく使える状態になった」

 震災後、初めてドックに船が入ったのは4月21日。湾内に引き出された惣宝丸と、サンマ漁船だった。サンマ漁船はきょう10日、惣宝丸は11日、それぞれ修理を終え、東北ドック鉄工を離れる。

 五十嵐さんは温海町(現鶴岡市)で生まれた。加茂水産高を卒業した後、捕鯨会社に入社。その後、漁船や貨物船の船長を務めるなど、長年「豊かな海」を仕事場にして生きてきた。その海が津波となって大勢の命を奪った。

 「今回の震災では友人が10人ぐらい犠牲になった。行方不明の知人もいる」。五十嵐さんは苦しげな表情を見せた後、こう続けた。「石巻で被災した同業者が一日も早く復旧することを願っている。一緒に力を合わせて初めて復興できる」。修理を手掛けた船が大漁の魚を積んで港に戻る日を待ち望んでいる。
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