東日本大震災

酒田海保、沿岸部で不明者捜索 祈り込め丹念に

2011年04月23日
湾内では機動艇が行方不明者などを捜索していた=岩手県大槌町
湾内では機動艇が行方不明者などを捜索していた=岩手県大槌町
 酒田海上保安部が東日本大震災で被災した岩手・宮城沿岸部で、支援活動を展開している。22日は佐々木浩(こう)救難係長(47)と巡視艇べにばなの猿田憲策船長(41)が岩手県大槌町の水門に立ち、湾内で待機する応援部隊と連携、行方不明者の捜索に当たった。沿岸部は壊滅的な被害を受けている場所が多く、被災者の目に触れる機会は決して多くないが、「行方不明者を何とか見つけてあげたい」。祈るような気持ちで地道な作業を続けた。(仙台支社・松田直樹、報道部・堀川貴志)

 午前10時45分すぎ、青色のゲートがゆっくりと動きだした。震災から1カ月以上。長い間せき止められていた大量の水が、「悲しみの記憶」とともに白いしぶきを上げて海に押し流されていく。2人は水門や防潮堤を移動しながら、人影や危険物がないか目を凝らした。

 大槌湾に注ぐ小鎚川の河口。水門は、津波を食い止めるため2003年に設置された。大震災直後に3つあるゲートが全て閉じられたが、海の壁は軽々と乗り越え、人々の命と家々を破壊した。

 余震が続く中、津波への警戒から水門は閉じたままだったが、水位はじわじわと上昇。今後、梅雨時を控え、氾濫する恐れもあることから開門されることになった。「がれきが流れていくと思います。注意願います」。佐々木係長は湾内で待機している機動艇の職員に無線で連絡する。

 水門警戒の合間を縫って、猿田船長が、がれきの山から2つの赤いランドセルを拾い上げた。大切そうに中身を確かめ「思い出の品かもしれないので。災害対策本部に後で運びます」。

 猿田船長は1993年7月、北海道南西沖地震で大きな被害を受けた奥尻島で潜水士として活動した経験がある。「状況は似ているが、今回は奥尻が延々と続く感じ。想像を絶する規模だ」

動きだした水門と海に流れ出る水を注視する酒田海上保安部の猿田憲策船長(左)と佐々木浩救難係長=岩手県大槌町
動きだした水門と海に流れ出る水を注視する酒田海上保安部の猿田憲策船長(左)と佐々木浩救難係長=岩手県大槌町
 「家を失った」「これからどうすればいいか」「子供の教育が心配」。被災者の切実な声を耳にするたび、やり切れない気持ちになる。しかし、うれしかったこともある。「船のスクリューに網が絡まった」。年配の漁師から依頼され、潜水士と連携して除去した。津波が襲った時、船に乗っていた男性は、のみ込まれていく町の様子を海上からぼうぜんと見詰めるしかなかったという。「『しかし、これで何とか前を向いていける。ありがとう』と言われ、もっと頑張ろうと思った」。2人は口々に話す。

 酒田海保によると、3月23日から職員を被災地に派遣。岩手では生存者や行方不明者の捜索、宮城では航路標識の復旧作業などを行っている。佐々木係長は阪神大震災でも支援活動に当たった。「神戸は見事によみがえった。東北も必ず復興できる」。佐々木係長の願いは、この地球に生きている人々みんなの願いだ。
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