東日本大震災

希望の水必ず 岩手・陸前高田で本県企業が掘削作業

2011年03月26日
 東日本大震災の発生から2週間が経過した25日、壊滅的な打撃を受けた岩手県陸前高田市を訪れた。がれきの山が連なる市街地では、いまだ遺体の収容や捜索活動が続く一方、撤去作業が至る所で繰り広げられ、ライフラインの確保や仮設住宅の建設など、被災者の生活再建も途に就きつつある。少しずつだが、復興への動きも見えてきた。
(報道部・堀川貴志、須藤仁、佐藤裕樹)

避難所となっている陸前高田一中の敷地内で、生活用水確保に向けて掘削作業を行う日本地下水開発の社員=25日午前11時59分、岩手県陸前高田市
避難所となっている陸前高田一中の敷地内で、生活用水確保に向けて掘削作業を行う日本地下水開発の社員=25日午前11時59分、岩手県陸前高田市
 市街地を見下ろす高台にある陸前高田一中。現在は津波などで家を失った被災者ら約750人が生活する避難所になっている。グラウンドでは19日に始まった仮設住宅の建設が進む。その一角で、日本地下水開発(山形市、桂木宣均社長)による災害用井戸設置に向けた掘削作業が行われていた。

 水道は壊滅状態で自衛隊による給水車だけが頼みの綱だ。避難所に身を寄せる佐々木チエ子さん(57)は「使える量が限られているので洗濯ができない」と嘆く。神田健さん(76)も「洗顔も歯磨きも最小限の量しか利用できず、風呂は親戚を頼って5日に1回のペース」。毎日給水があるとはいえ、使用量を限られた生活が長引き、衛生面への不安も出てきている。

 日本地下水開発は社員6人が24日に現地入りし、生活用水の確保に向けた作業に着手した。最短6時間で100メートルもの掘削が可能な最新鋭の機材を投入。前日にある程度の深さまで掘っており、25日はくみ上げ用の管を入れ、水量調査なども実施。最深部まで管を通し、地下水をくみ上げるため、モーターポンプを動かした。しばしの時間を経て、地上に伸びた管につないだホースからプシュッ、ドボドボという音とともに水が出できた。しかし、その勢いが続いたのは5分ほど。「だめか」。十分な水量が見込めず、作業員からはため息がもれた。

 仮設住宅に近いグラウンドでの掘削は実を結ばなかったものの、関係者は悲観はしていない。作業を見守った桂木聖彦常務は「高台より低い位置で掘れば十分な量の地下水が確保できる」と話し、26日以降、再チャレンジする予定だ。「水は生活に欠かせない要素。多くの人の手助けをしたい」と力を込めた。

壊滅したがれきの街の中を、かつての面影をたどりながら歩く地元の家族=25日午後1時34分、岩手県陸前高田市
壊滅したがれきの街の中を、かつての面影をたどりながら歩く地元の家族=25日午後1時34分、岩手県陸前高田市
 一方、市街地は見渡す限りのがれきの山だ。撤去作業を繰り広げる重機の姿も確認できるが、高台の避難所から一望する光景はまるで爆撃を受けた跡のよう。避難所で暮らす50代の女性は「本当に元に戻るのかしら」と不安を隠さなかった。

 高台から下りて市街地を巡った。住んでいた家があった場所に出向く人たちと擦れ違ったが、一様に疲れ切った表情で、足取りも重たかった。2週間という時間が、人々の生気を奪っているようにさえ感じた。

 そんな中、たった一人で散乱物の撤去に汗を流す男性がいた。茨城県石岡市の僧侶戸田友久さん(33)。テレビで被害の様子を目にし、「何とかしなくては」との思いに突き動かされ、18日に現地入りした。合掌して犠牲者の冥福を祈りながら被災者の深い悲しみを知り、朝から晩まで自力でがれきを片付ける日々を送っている。「かつての街の姿を取り戻すことで、被災者に希望を持ってもらいたい」-復興作業に従事する人々に共通する思いだろう。
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